例えば5月17日にはアメリカ・ニューヨーク州もCDCの方針に倣い、マスク着用のみならず施設の人数制限の多くを解除することを発表。その前提として、ワクチン接種の広がりと、その効果とみられる感染者の減少がある。クオモ州知事のTwitterによれば、同州では17日までに成人の52%が接種を完了し、検査陽性率は1.26%まで低下。16日の死者数も15人にまで減少している。
CNNによれば、カリフォルニア州やミシガン州でもマスク着用義務を解除する動きがある一方、ニュージャージー州は解除に対し慎重な姿勢を見せている。社会全体の状況次第、ということだ。
英国の学校現場でのマスク着用解除についても、ウィリアムソン教育相が5月6日付のデイリー・テレグラフ紙に、「感染率が低下し続け、ワクチン接種プログラムが成功を収めているため」と述べている。
他方、米英に比べて接種が遅れている欧州各国から、「接種の済んだ個人はマスク着用義務を解く」といった話は、当然ながらまったく聞こえてこない。
高齢者完了でも感染減少は「1割」
政府は目下「7月完了」を掲げ、高齢者への接種を強力に推し進めている。だが、東京都の直近のデータでは、65歳以上の新規陽性者に占める割合はわずか11%だ。つまり高齢者の接種が完了しても、新たな感染者を1割減らせるにすぎない。
そもそもワクチンの接種を受けた人でも、新型コロナの感染リスクがゼロになるわけではない。
CDCによれば、ファイザーとモデルナのワクチンの“感染”予防効果は、2回接種完了後に2週間経過した時点で90%に上る(“発症”予防効果はそれぞれ95%、94%)。また初回接種後2週間でも、80%の“感染”予防効果が得られるという。
非常に期待の持てる数字である。だが、ゼロではないのだ。
実際、国立感染症研究所は5月13日、ファイザーのワクチンを接種した110万人超の医療従事者(4月30日時点で2回接種完了者は約104.3万人[94.7%])について、その後の感染状況を報告している。接種後に感染が報告されたのは281人[0.03%]で、このうち2回接種完了者は47人[16.7%]だった。報告によれば、男女比では女性が約7割、年齢構成では20~40代が約7割を占めている。
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