野村HD、3100億円の“大やけど"でも強気一辺倒

法人部門の業績目標をさらに引き上げ反転攻勢に

5月12日の投資家向け説明会で「ご心配をおかけしており、重く受け止めている」と語った奥田健太郎CEO(記者撮影)

「申し訳ありませんでした」――。

アメリカの顧客との取引から生じた巨額損失に対し、野村ホールディングス(HD)の奥田健太郎CEOがそう口にすることは最後までなかった。

5月18日、野村HDは「米国顧客取引に起因した損害に関連するポジション処理完了」を発表し、総額約3100億円の損失が確定した。すでに2021年3月期決算で計上した23億ドル(2457億円)に加えて、2022年3月期に6億ドル(約650億円)の損失を計上する。

【2021年5月20日8時40分追記】初出時の表記を一部修正いたします。

根本的な原因の説明はなし

実は、巨額損失の原因となった顧客との取引規模が膨らんだのは、2021年に入ってからだった。顧客が投資していた銘柄数が少なかったことに加えて、短期間で株価が上昇し、価格変動リスクにさらされている資産の割合が急激に拡大した。野村が顧客と他の金融機関との取引を正確に把握できていなかったことも、過剰なリスクを抱える原因となった。

3月に入り、顧客と行っていた取引の中で、1つの対象銘柄の株価が急落した。顧客が投資していたほかの銘柄の株価も下落し、野村が顧客から受け入れていた担保が不足。追加担保の請求を行ったが、入金がなかった。結果、3月29日の「2200億円超の損失可能性」発表につながった。

唐突な発表を受けて野村HDの株価は大きく下落し、時価総額にして約4000億円が吹き飛んだ。第3四半期までの好業績で投資家の期待も高まっていただけに、落胆は大きかった。

事案の概要と対策についてある程度の説明がなされたものの、なぜこの顧客との取引を開始したのかといった経緯や根本的な原因の説明はないままだ。

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