アメリカ「インフラ投資計画」は台湾に好機だ

交通インフラに電気自動車、通信網で市場拡大

アメリカのバイデン大統領が発表した「一世一代の大投資」計画である「アメリカン・ジョブズ・プラン」。この計画には、米中対立の狭間で台湾企業にとって大きなチャンスとなりそうだ(写真・NOV/PIXTA)

「この投資計画はアメリカにとって、州間高速道路の建設や宇宙開発競争以来の類例のないプロジェクトとなるだろう。第2次世界大戦以来の一世一代の大投資だ」。2021年4月7日、ジョー・バイデン大統領は演説でこう述べた。計画自体は3月末に発表されていたが、4月の演説でさらなる説明が加えられたのだ。

その計画の名は「アメリカン・ジョブズ・プラン(American Jobs Plan、AJP)」。目下の目標はアメリカ国内のインフラの建設・改修により雇用を創出するというものである。

AJPには「第2次大戦以来の巨額の大投資」、具体的に2兆6500億ドル (約290兆円)が投じられるという。クリーンエネルギー関連優遇策に充てられる4000億ドル(約44兆円)を差し引いても、アメリカ政府は2兆2500億ドル(約246兆円)もの資金をAJPに投じるというのだ。

AJPが台湾サプライチェーンにもたらすチャンス

AJPの核をなすインフラ投資計画で挙げられた46の項目は、大きく5つの領域に分類することができる。そのうち台湾が注目すべきなのは、最も大きな額が投じられる「交通インフラ関連(6210億ドル / 約68兆円)」と、今後市場の拡大が見込まれる「電気自動車(EV)関連(1740億ドル / 約19兆円 )」、そして「インターネット、電力、水関連」の3領域だ。「インターネット、電力、水関連」は、投資額こそ最少であるものの、台湾企業にとって最大のビジネスチャンスになりうる高速ブロードバンド網の整備と電力設備の更新プロジェクトが含まれる。

まず交通インフラ関連を見てみたい。アメリカ政府は交通インフラへの割り当て分6210億ドルのうち4500億ドル近く(約49兆円)を、高速道路、橋、鉄道、港、空港等の補修に充てることを計画している。つまり、今後、鉄鋼や樹脂等、建設資材の原材料の需要増加が見込まれるということだ。

アメリカ鉄鋼協会(AISI)は、政府が推し進めるインフラ投資計画によりアメリカの鉄鋼需要は3〜4%増加すると予測している。同協会は「道路、鉄道、橋梁の建設には鉄鋼が必要だ。しかも計画は1年だけで終わらない。8年だ」とする。

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