アメリカ「インフラ投資計画」は台湾に好機だ 交通インフラに電気自動車、通信網で市場拡大

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台湾最大の製鉄会社「中国鋼鉄」の副総経理・黃建智氏は「バイデン効果」には期待できるとする。だが、黄副総経理によると中国鋼鉄が受ける恩恵は直接的ではなく、間接的なものになる見通しだという。というのも、現在、鉄鋼関係において台湾の対米輸出量が毎年100万トン(ステンレスを除く)であるところ、中国鋼鉄が占める輸出量は1万トンにも満たないからだ。しかも中国鋼鉄のアメリカ向けの主力製品は建材関係ではなく、自動車製造用の鉄鋼だという。

ではいったい、どの企業がアメリカの鉄鋼需要増の直接的な恩恵を受けるのだろうか。それは、亜鉛メッキ板の輸出を一手に引き受ける金属加工メーカー「燁輝(Yieh Phui )」と「盛餘(Sheng Yu)」、そしてボルトとナットを製造する中小企業だ。

ステンレス大手の「大成不銹鋼工業(TCI)」の総経理・謝榮坤氏は、「台湾鉄鋼業界への需要が高まり、アメリカへの輸出量は増加するだろう」と予測する。インフラ投資計画によりアメリカの鉄鋼需要が急増しても、アメリカ国内の金属メーカーは急な増産への対応が難しく、一方で中国企業はアメリカ市場から締め出されているからだ。ここに台湾企業の勝機があるのである。

インターネット整備へかつてない巨額の投資

次にインターネット関係への投資計画を見てみたい。これは高速ブロードバンド網の構築と基地局の増設にバイデン大統領が1000億ドル(約11兆円)を投じる計画だ。台湾のサプライチェーンの中でも、特に通信関連へ大きなチャンスをもたらすことになりそうだ。

「1000億ドルとは一大投資だ!」と話すのは、通信設備メーカー「盛達電業(Billion)」の陳忠廷会長だ。盛達電業は10年以上前からアメリカの郊外エリアをターゲットにしたワイヤレスブロードバンド市場に参入している。同社は、過去にも現地通信会社との契約の際にアメリカ政府から補助を受けていたというが、陳会長は「こんなに大きな額は見たことがない」と話す。

陳会長によると、盛達電業はテキサス州ダラスに簡易的な生産ラインを有しており、いつでも受注可能だという。陳会長は「バイデン大統領の計画は発表されたばかりで、(計画による)新規の受注はまだだ」としながらも、アメリカではインターネットの通信速度に都市と郊外で依然として大きな差があることから、「郊外エリアの案件がメインになるかはわからないが、インフラ投資計画の恩恵を受けるのは間違いない」と予測している。

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