「21秒で100回」非利き手の小指で机を叩けるか ドラゴン桜流「努力できる脳」か否かの見分け方
シュレーディンガー 岡小天&鎮目恭夫(訳) 岩波文庫
原子物理学の基礎を築き、量子力学を打ち立てた著者が、考察の対象を生命に向けた。「生命とは何か」という壮大なテーマについて、物理と化学による説明をほどこしたのが本書となる。
彼が立てた問いは、こうだ。
「生きている生物体の空間的境界の内部で起こる時間・空間的事象は、物理学と化学とによってどのように説明されるか?」
なるほどたしかに20世紀前半あたりまでは、生命現象というのは、物理法則を超越した何らかの力が関与している「特別なこと」なのかもしれないという考えもあった。が、シュレーディンガーはそれを打ち消す。生物体の働きには正確な物理法則が必要であると、本書で明示したのだ。
シュレーディンガーは物理と化学によって生命の仕組みの細部に分け入り、丁寧に解説を試みる。出てくる数式などをすべて理解するのは骨が折れるが、論の筋道だけでも追っていけば、おぼろげに彼の提示する生命の姿が浮かび上がってくる。
とりわけ、生物体は「負エントロピー」を食べて生きているのだという指摘には目を見張る。
この世のあらゆるものごとは、エントロピーが増大し続ける流れの中にある。絶えず秩序から混沌へと向かうということだ。生物体もエントロピーを増大し続け、それが最大になると死を迎える。
そうならないで生きていく唯一の方法は、周囲の環境から食事などによってエネルギーを得て物質代謝をし、秩序を取り入れエントロピーを体外へ排出すること。そうしてエントロピー最大化を多少なりとも遅らせているのである。
エントロピー増大の進展をほんの束の間、留めおく。科学の側から眺めると、生命の正体とはそんなひとつの現象だということになるのだ。
『生命とは何か』まとめ
読むだけで生命のイメージがガラリと変わる。ひとつの生命体である自分自身の能力を高めるためのヒントは、本書の中に詰まっている。
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