日本企業も多い「テキサス州」が狙い目の理由 あのテスラが自動車工場を建てることでも注目

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まずテキサスの経済規模を言うならば、それはひとつの国家並みなのだ。この州のGDPは、昨年時点で約1兆7600億ドル。2020年度の国際ランキングをみると9位のカナダにもっとも近い。

アメリカの州別GDPランキングでは、断トツ1位はカリフォルニアで3兆ドル強に上る。ただし同州は、出生率の低下などの原因により人口が年々減少しているのに加え、シリコンバレーを含むベイエリアなどの経済圏を中心とした、地価や物価高騰、高い税金などの要素も人口流出の要因となっており、今後これがどうなるかによっては、この位置を維持できるかどうかは微妙だ。

アメリカンドリームがまだ存在する

スティーブ・カールソン(27歳、仮名)さんは、カリフォルニアからテキサスへの生活拠点を移す日を心待ちにしている1人だ。彼はイーロン・マスク氏率いるテスラの社員で、現在はシリコンバレー近郊に暮らしているが、同社がテキサス州オースティン市に2番目の自動車工場を建設すると発表するや否や、テキサス行きを志願したのだという。

同社は、当初5000人の雇用をオースティン市に促すと発表していた。ところが最近、2022年末までに1万人規模の雇用が必要という試算を再発表。カリフォルニアからもオースティンに移りたい人は多いが「学歴関係なしだが、高給与待遇を約束」とマスク氏が発表したため、社内から転勤したいと思っていた人の中には、「確実に採用されるために、1回テスラを辞めてオースティンのローカル採用を目指す」という人までいるという。

カールソンさんは、モンタナ州出身。大学時代からカリフォルニアに住んでいるが、「カリフォルニアがエキサイティングで楽しかったのは25歳まで」。理由は働いてそれなりの額の給与をもらっても家賃が高く、年々物価も上がり続けているために、結婚したくても家族を養えるかが不安という点。また、リベラルなカリフォルニアの風土も、最初は心地よかったが、昨今、何を発言するのにもポリティカルコレクトネスを気にしなければならず、もともと保守州出身だった身としては、疲弊感が高まってしまったから、なのだそう。

「テスラはある意味、『アメリカンドリームがまだ存在すること』を証明し続けているような企業です。テキサスはこれから発展することがさらに見込まれている土地ですから、テスラとの相性もいいと思います。

個人的にも結婚を考える年齢になったので、将来のことを考えれば、カリフォルニアよりも、テキサスの方が魅力的です。税制度も素晴らしいし、物価も安い。家の値段もカリフォルニアの半分以下。やりがいのある仕事、挑戦できる環境、そして質の高い生活。まさに、カリフォルニアではすでになくなってしまった『アメリカンドリーム』が、テキサスにはあると感じているんです」

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