地域主権改革の内実、国の責任の希薄化が社会保障を脅かす

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補助金の一括交付金化で社会保障予算は削減も

地域主権改革で、もう一つの重要な政策が、「ひも付き補助金」の「一括交付金」化だ。これは、政策ごとに細かく定められてきた国庫補助負担金を廃止し、大ぐくりにすることで、自治体の裁量権を高めることを狙いとするもの。6月までに制度の大枠を定め、2011年度予算から一部実施する方向で作業が進められている。ここでも問題となるのが、社会保障や教育分野の扱いである。

民主党は昨年の衆議院選挙で「ひも付き補助金の一括交付金化」を公約に掲げた。マニフェストでは、「社会保障・義務教育関係は除く」と明記していた。しかし、ひも付き補助金の大部分を社会保障・教育関係費が占めていることが判明(下図)。現政権はこれらの補助金も対象に含めることを検討し始めた。

一括交付金化が実現すると、自治体は予算の使い道が自由になる。反面、全体の財源が不足している場合にはほかの分野に転用されたり、赤字補填に使われる可能性も高い。

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