「禁酒令」でもう極限、酒販店が上げる怨嗟の声

業界団体首脳「感染拡大は酒のせいではない!」

コロナの感染拡大を酒のせいにしたことにも、非常に腹立たしい思いをしている。酒を飲んで騒ぐことが悪いのであって、酒そのものが悪いのではない。あまり政治の話はしたくないが、行政が自らの失政を酒のせいへと押し付けたような印象すら覚える。

――飲食店には協力金が支給されましたが、酒販店など卸売業者への支援は手薄です。どうして支援の拡充を声高に訴えてこなかったのですか。

榎本:格好つけたことを言うと、自分たち(酒販店)は免許業者であるという矜持がある。(これまで免許で守られてきた)われわれが「公助」を依頼するのはいかがなものか、という考えがあった。だからあまり声を大にして協力金を求めることは慎んできた。

しかし、とてもではないがもう黙っていられない。おとなしくしていたら、本当にわれわれは死ななければならなくなる。そんな心境だ。

佐々木:売り上げの規模によってさまざまだが、単月で数千万円の赤字になっている酒販店は多い。

(われわれのような)飲食店の関係取引先にも、1カ月で上限20万円の支援金を出すという話もあるが、焼け石に水でしかない。

高まる"2年連続赤字"への不安

――では、どんな行政の支援策が必要なのでしょうか?

榎本:給付金や補助金というかたちではなく、基本的に自分たちが納めたものを返してもらいたいと考えている。過去2~3年分の消費税と法人税の還付や、今後(飲食店の倒産などに伴い)貸し倒れが発生した場合にも、その中に含まれる酒税の還付などを求めたい。

もう1つは金融支援。日本政策金融公庫など政府系金融機関からの借入金の返済猶予を、ある程度延ばしてもらいたい。劣後債の金利を一部補填してもらうことなどもお願いしたい。

――これまで自助努力でなんとか踏ん張ってきたものの、資金繰りの面でも公助に頼らざるをえないフェーズに来ている、と。

榎本:2年連続で赤字を出したら、おそらく金融機関の姿勢は変化してくる。2020年度の決算では、赤字を出しても金融機関から「それは仕方がない」と言われた。しかし2021年度も(赤字を)出した場合、コロナという弁解はもう通用しないし、その後の資金調達は難しくなるだろう。

同業他社と話をしていると、このままでは売り上げが2020年並みの2019年比5割という最悪のシナリオすら聞こえてくる。そうなると完全な赤字経営となり、(業酒連の)会員全員が生き残ることは難しくなる。

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