ヴェゼル納車は2022年?!「納期遅れ」頻発の訳 ジムニーにハリアー…納期遅延はなぜ起こる
ジムニーとシエラについて、メーカーは需要を過小評価していた。2018年に発売されたときの国内販売目標は、ジムニーが年間1万5000台(1カ月平均で1250台)、ジムニーシエラは1200台(同100台)としていたからだ。
ジムニーはフルモデルチェンジを控えた2017年でも、1万3487台を届け出している。ジムニーのフルモデルチェンジは20年ぶりだったから、新型を待っていたユーザーも多い。そうなると新型の販売目標が年間1万5000台、月間1250台では圧倒的に少なく、納期が遅延するのは当然だ。
スズキは、対策を立てて生産台数を増やしている。ジムニーの届け出台数は、2018年は1カ月に1700~2000台で、目標の1250台を超えていた。2019年の1カ月平均は、増産によって2500台を上まわり、2020年には3000台を超えている。
そして2021年1~3月のジムニーの平均届け出台数は約4600台だから、販売目標の約4倍に達した。ホンダ「N-WGN」に迫る実績だが、スズキの販売店によると「増産しても納期は縮まらず、今でも約1年を要する。お客様からの注文も衰えない」という。
トヨタは「全店・全車扱い」が原因で遅延
トヨタの販売店では「今は『ハリアーハイブリッド』の納期が長く、2021年5月上旬に契約をいただいても、納車は12月頃になる」という。
この背景には、トヨタの販売体制の変更があった。2020年5月以降、国内の全系列・全店舗がすべての車種を扱うようになり、人気車は売れ行きをさらに伸ばし、不人気車は一層落ち込む事態となっている。
ハリアーは人気車種で、以前は全国約900カ所のトヨペット店のみで扱っていたが、今は4600カ所の全店が販売する。
しかも、現行型は2020年6月にフルモデルチェンジしたばかりの新型だから、2020年後半以降の売れ行きは、コロナ禍の中でも前年の約3倍に達した。
売れ筋の価格帯が350万~500万円の高価格車ながら、販売ランキングの上位に入る人気ぶりで、特にハイブリッドの納期が延びた。
以上のように、納期が長引く最大の理由は、「メーカーが需要を見誤ること」にある。予想を超える受注が生じた結果、生産が追い付かない。ヴェゼルのe:HEV PLaYであれば、受注台数が伸びたことで、専用装備のパノラマルーフ/上級のシート生地/2トーンボディカラーなどの供給が不足する結果となっている。
ジムニーの高人気も同様だ。20年ぶりのフルモデルチェンジは、既存のジムニーユーザーだけでなく、新規ユーザーからも注目され、受注が集まった。
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