ヴェゼル納車は2022年?!「納期遅れ」頻発の訳 ジムニーにハリアー…納期遅延はなぜ起こる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ジムニー人気にも表れているように、SUV需要の原点回帰も見られるようになっている。ハリアー、ヴェゼル、レクサス「RX」のような都会的なSUVが大幅に増えた反動で、フロントマスクなどに野性的な雰囲気を感じさせる「RAV4」や「ライズ」も好まれている。

手頃な価格からも人気のコンパクトSUV、ライズ(写真:トヨタ自動車)

ジムニーはエンジンを縦向きに搭載するFR(後輪駆動)ベースの悪路向けSUVだから、ボディは小さくても野性味は満点で、まさにSUVの原点といえる。現行型は、先代型と比べても内外装をシンプルに仕上げて個性を際立たせたから、ますます人気を高めて納期遅延に陥った。

ハリアーも以前から人気が高く、従来型からの乗り替え需要が多い車種だ。トヨタの全店全車扱いが始まったのと同時期に現行型にフルモデルチェンジしたから、全国の4600店舗で好調に売れている。この需要増加をメーカーが予想できなかったから、納期も延びたのだ。

ヴェゼルの場合、前述の通り、4月22日の正式発表より1カ月以上も前の3月上旬から予約受注を始めている。この受注開始の前倒しは、発表前に需要を正確に把握して、生産計画を立てやすくするために行うものだ。

早くから需要を把握して合理的に生産し、納期遅れを防ぐ施策のはずだが、ヴェゼルでは裏目に出た。発表された時点ですでにe:HEV PLaYを筆頭に納期遅延が発生していた。

なぜ、メーカーは需要予想を誤ってユーザーを待たせてしまうのか。その理由は、海外市場を優先し、国内に向けた関心が薄れたからだ。

正確な体制でロイヤルティ低下を防げ

日本メーカーの2020年における国内販売比率は、ホンダとトヨタが14%、スズキは26%だった。大半のメーカーが、世界生産台数の70~80%以上を海外で売るから、相対的に国内の依存度が下がり、需要予想も誤りやすい。

そして、今は新車需要の80%以上が既存ユーザーの乗り替えによるものだから、ほとんどの顧客が愛車を下取りに出して新車を買う。だから、納期が遅れると納車前に愛車が車検を迎えてしまう事態になる。

従って、新車の納車を待つために愛車の車検を取って余計な出費を発生させたり、下取り車を先に引きわたして愛車を持たない期間が生じたりする。

顧客満足度は、商品自体と販売面の両方で構成されるものだ。いくら優れたクルマを作っても、売り方や納期で失敗すると顧客満足度を下げてしまう。メーカーやブランドのロイヤルティを下げないためにも、より早く正確な納車体制を望みたい。

渡辺 陽一郎 カーライフ・ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

わたなべ よういちろう / Yoichiro Watanabe

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまにケガを負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人たちの視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事