関西国際空港救済案の現実味、伊丹空港との統合でも前途多難
海外では主要空港の経営権を外資系ファンドが握るケースもある。ただ、日本では07年に羽田空港を運営・管理する日本空港ビルデングが豪州のファンドに株式取得された際、官民挙げて防衛戦を張るなど外資へのアレルギーは強い。
収益性向上が課題
仮に売却でき、バランスシートが改善しても、事業収益力が向上するかは別物。
もともと関空は後背地需要や旅客単価が低い一方、コスト高という問題を抱える。そこへ28日に日本航空が「関空は近距離アジアとホノルル線に特化する」と発表。路線削減や機材小型化を一段と進める考えを打ち出しており、収益の先細りは避けられそうにない。
一方、10月には羽田空港が国際線の本格就航を開始予定。関空が誇る国際線と国内線の乗り継ぎ利便性も、国内線の6割が集中する羽田に奪われかねない。
交通政策が専門の早稲田大学の戸崎肇教授は「高収益の伊丹の足を引っ張ってまで、関空を延命させることに意味はない」と話す。本格的な救済には収益向上策など将来ビジョンの構築が必要だ。
(冨岡 耕 =週刊東洋経済2010年5月15日号)
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