NYダウが誤発注騒ぎで過去最大の下げ幅、終値は347ドル安--高まるギリシャ発ソブリンショックの恐怖
ギリシャの10年物国債利回りは6日現在11.7%と、ドイツの2.8%に対して9%近いスプレッドを付けているが、ポルトガルも同国債利回りは6.5%まで高騰、スプレッドは4%近くまで拡大してきた。ポルトガルの「ギリシャ化」は確実に進んでいる。極めて厳しい情勢だ。
バークレイズ・キャピタル証券は6日付のレポートで「アイルランド、ポルトガル、スペインの財政赤字の対GDP比率は年初からほとんど改善していない」と指摘、「これらの国は、向こう2年間で付加価値税引き上げなどの大きな再建策に乗り出すべき」と述べている。
ポルトガルでは、今年1~3月期の中央政府の財政赤字は前年同期をやや上回っている。一般政府財政赤字もGDP比9%前後で推移している。国債金利上昇という形で市場からの強い圧力を受けているため、今後、付加価値税引き上げなど、新たな財政赤字削減策が避けられないと見られる。
市場内では、欧州中央銀行(ECB)によるギリシャなどの国債買い取りに期待感もあったが、6日のECB理事会後の記者会見でトリシェ総裁は「検討していない」と言明、NY株の下落要因ともなった。ECBは流動性供給の際の適格担保要件(信用格付けがトリプルB以上)において、ギリシャ国債を適用除外としたが、これだけでは市場の不安感は収まらない。
ソブリンショックの世界経済への波及経路
ギリシャ危機の世界経済への波及経路としては、(1)国債金利の上昇や財政緊縮策強化による景気下押し圧力、(2)ギリシャ国債などを保有する投資家の損失拡大、(3)信用不安の高まりによる投資家のリスク許容度の低下、株式市場の急落、(4)ユーロ安など為替市場の変動に伴う貿易・金融取引への影響、などが考えられる。
双子の赤字を抱えるギリシャは国債発行による資金調達でも外国資金に頼っており、ギリシャ国債の保有比率のほぼ7割が海外。海外のほとんどが欧州諸国で、フランス、ドイツ、イタリアなどの銀行や保険会社、投資信託、年金基金などが中心だ。