日本の不毛な就活、採活を撲滅できるか? 書評:『みんなで変える日本の新卒採用・就職』

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身の丈に合った就活をしよう

大学のキャリアセンターは「就職実績企業」を掲示しているが、10年以上も前の実績であることがある。同じようなことは企業の採用広報にも言える。情報を操作して誤った判断に導き、大学は受験生を増やそうとし、企業は学生へのイメージアップを狙っている。そんな日本の新卒採用を正常化するために、著者は「情報公開」が必要と主張しているのだ。

『みんなで変える日本の新卒採用・就職』 寺澤康介著(HRプロ刊 1100円+税)

また著者は、インターンシップなどの産学連携、身の丈に合った就活を提案している。現在の新卒採用・就職では、企業は架空の抽象的な人物像を語って「あなたを待っている」とあおり、学生は「ぼくにもできるかも」と夢を見る。そんな無益なことをやめて生産的になろうということだ。著者の主張は、学生と企業の最適化と言っていいかもしれない。

本書を読んで「そのとおり」「わが意を得たり」とうなずく大学関係者、人事関係者は多いと思う。しかし本書を首肯した人間が、直ちに解決策を実行するとは思えない。「総論賛成、各論反対」という言葉があるが、日本では建前と本音が乖離したまま、なかなか変わらないことが多い。

たぶん著者はそんな日本社会の特性を知ったうえで、書名を付けたのだと思う。『みんなで変える日本の新卒採用・就職』というタイトルだが、「みんな」とは志を持つ仲間を指しているのだと思う。志は理念に終わるものではなく、行動を伴う。著者の変革への意思を感じるネーミングである。

(撮影:梅谷秀司)
 

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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