「3850円寿司食べ放題」実施した社長が見た光明 TikTokを通じて広まり、魚介の仕入れ量は3倍に
「店は給付金があるから、休業しても生き延びていくことはできます。でも、営業していけば、その給付金を商品の仕入れに回すことができます。休業して利益ゼロというのと、売り上げの多くを仕入れに回して利益ゼロというのでは、同じゼロでも中身がまるで違います」(前原氏)
実際、食べ放題企画を始めてから、スタッフが生き生きと働き、日々成長していく様子が伝わってきたという。最初はうまく行かなかったオペレーションも、毎日終業ミーティングを開催して改善を繰り返した結果、スムーズに運ぶようになった。
11時半から20時までの営業時間内に食べ放題予約がまんべんなく入り、客の回転もよくなった。仲卸業者・生産者に喜ばれ、そもそもの目的も達成できたことはもちろん、客からも高反応を得られた。リピーターが多いほか、LINEで会員登録し、着信をブロックせずに継続する客の割合が普段に比べ高いそうだ。
食べ放題を可能とする「条件」が整っていた
このように試行錯誤を繰り返しながらも最終的に成果を挙げることができたのには、いくつかの幸運も重なっていた。
何より、食べ放題を可能とする条件が整っていたことだ。
前提として、仲卸業者との強い結びつきがあり、食材が確保されていた。宣言開始の1月はじめには、年末年始の宴会用に用意されていたカニがはけきれず、膨大な在庫があったという。
そして、当時同社では総合居酒屋から寿司居酒屋への特化を検討しており、シャリロボットを導入したばかりだった。寿司食べ放題を成功させるためには必須のインフラだ。
さらに、広い客層からの支持を得られたこと。あるTikToker(ティックトッカー)の投稿がきっかけになり、まず若い世代から反響があった。「支援」を前面に出したこともプラスに働いたのだろう。ITなど新しい技術の世界では共感や分かち合いを重視する価値観が自ずと醸成されており、これはミレニアル世代などの若者の感覚ともなじみがよい。クラウドファンディングがよい例だ。
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