読まれる文章とスルーされる文章の決定的な差 書く前の準備で結果の9割は決まっている

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「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と、生と死の対比を使った壮大な表現に、走ることと走らないことの対比では弱く感じます。「走るべきか、泳ぐべきか、それが問題だ」「有酸素運動か、無酸素運動か、それが問題だ」なら、まだ対比に足るでしょう。壮大な表現は、ふさわしい時に使ってこそ生きるものです。

結局、Nさんにはタイトルの基本的な考え方を3回に分けてレクチャーすることにしました。今ではとてもいいタイトルをつけられるようになりました。

Nさんにレクチャーしたのは、キャッチコピーの技術はいったん忘れて、まずは記事をしっかり読み込むこと。その記事で「伝えたいこと」は何か、一番の“売り”を考えること。それだけです。

誰に何を伝えたいのか確認する

世の中には、ものをつくる人がいて、それを広告する人がいます。メーカーと広告代理店といえばイメージしやすいでしょうか。「読まれる」「売れる」言葉を考える時に、そのほとんどが後者の広告視点、つまりマーケティング発想から始まっています。

私たちが目にする情報の量は1996年から10年間で530倍、特にインターネットの情報量は2000年から20年間で6450倍にも膨れ上がっているとか。この恐ろしいほどの情報量のなか、どうすれば読者の目に止まるか、買ってもらえるか。そのノウハウばかり追いかけて、しのぎを削るうちに、内容とフィットしない言葉が溢れてきたように思います。

内容にフィットする言葉でなければ魅力は伝わりません。

つくるものをコンテンツと言い換えてもいいでしょう。記事であれ、モノであれ、コトであれ、サービスであれ、言葉にして初めてコンテンツになる。つまり、言葉にするまでがものづくりです。

いま、世のなかで目にする言葉は、ものづくり視点とマーケティング発想の比率が2:8ぐらいでしょうか。それぐらいマーケティング発想が行き渡りました。

ですが私は、ものづくり視点が8、マーケティング発想は2が理想だと思います。なぜなら、コンテンツをつくることと見せること、どちらが大切かといえば、つくることだからです。

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