50代で独立したら年金・健康保険はどうなるか 会社任せにはできない手続きがいくつもある

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働き方や働く場所の多様化で、独立して仕事がしやすい環境になってきた。だが、個人事業主になる場合は、会社員時代とは異なる社会保険制度への加入手続きを自分で行う必要がある(写真:xiangtao/PIXTA)

4月から高年齢者雇用安定法が改正され、「70歳定年時代」も現実味を増す中、独立の夢を実現しようと、50代のうちに会社を退職する人もいるかもしれません。

独立すると、それまでの長い会社員生活とは大きく変わり、事業のことから税金のことまで、さまざまなことを自ら考えて実行しなければなりませんが、退職・独立後の「社会保険」については後回しにしたり、見落としたりしがちです。今回は、退職・独立前にしっかり把握しておきたい社会保険の注意点をまとめます。

個人事業主になると国民年金に切り替わる

国民年金には20歳から60歳まで加入義務があります。会社員として勤務している間は厚生年金被保険者となり、国民年金としては第2号被保険者となりますから、毎月の給与や夏冬の賞与から厚生年金保険料が引かれてきたことでしょう。会社を辞めて独立し、個人事業主になると、厚生年金被保険者ではなく、国民年金第1号被保険者に切り替わることになります。退職後、その手続きが市区町村へ必要です。そして、会社を退職した月の分(月末退職の場合は退職月の翌月分)から60歳の前月分まで毎月国民年金保険料を払う義務があります。

報酬に応じて異なる厚生年金保険料と異なり、国民年金保険料は定額制で、月額1万6610円(2021年度)です。金融機関やコンビニエンスストアで現金で支払う方法や、口座振替で支払う方法などがあり、前もって一括で納めることもできます(前納制度)。1991年3月までは、20歳以降の一定の学生期間は国民年金に加入義務がなかったため、国民年金保険料というものを納めたことがない人も多いでしょう。個人事業主になると、自分で各月の国民年金保険料の納付をしていくことになります。

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