50代で独立したら年金・健康保険はどうなるか 会社任せにはできない手続きがいくつもある

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毎年誕生月に送られる「ねんきん定期便」について、50歳以上の人であれば、将来受給する年金の見込み額が表示されることになりますが、この見込み額は、現在の年金の加入条件で60歳まで加入し続けた場合の額となります。給与が高いと厚生年金保険料が高くなる分、将来の年金額も多く計算されることになりますが、在職中に届いた定期便で、当時の給与が高い場合であれば、そのままの給与で60歳を迎えた場合の見込み額となります。

しかし、退職して国民年金第1号被保険者になると、それ以降、老齢厚生年金が増えなくなり、在職中に届いた定期便の見込み額と大きく異なる額に変わるでしょう。もし、毎月の給与(標準報酬月額)が65万円だった人が、55歳から国民年金第1号被保険者になり、それが60歳になるまでの5年間(60月)続いた場合であれば、60歳になるまで標準報酬月額65万円で厚生年金に加入し続けた場合と比べ、老齢厚生年金の見込み額が年額20万円以上減ることになります。いずれ60代以降の将来の年金についても考えなければならないことになりますが、独立後は、以前の定期便の見込み額より下がることになる点を知っておきたいところです。

第1号被保険者としての毎月の国民年金保険料を納めないと、老齢基礎年金も減ることになります。納付義務のある保険料を放置して未納だった月の分は将来の老齢基礎年金が0円で計算されてしまいます。独立後、どうしても収入が少なくて国民年金保険料を納付できない場合は保険料免除の申請をする必要があります。保険料の全額免除であれば、たとえ保険料の全額を納めていなくても、国庫負担(税金による負担)により、納付した場合の2分の1は受給額に反映されます。「何もせず放置している未納」と「手続きをした免除」は大きく異なりますので、免除の申請は忘れずに行っておきたいところです。

国民健康保険より「任意継続保険」に入るメリット

個人事業主になると、年金だけでなく、医療も変わります。会社員の間は健康保険の被保険者でしたが、退職すると国民健康保険の被保険者になります。医療保険制度も、個人事業主になると国民健康保険への切り替えが必要です。

会社員時代の健康保険の保険料が給与(標準報酬月額)、賞与(標準賞与額)に保険料率を掛けて計算するのに対し、国民健康保険の保険料は前年の所得を基に計算されることになり、市区町村によってその額が異なります。また、国民健康保険は退職した人、年金生活者を中心に加入していることから、保険料が高くなることを想定しておく必要があります。

ただし、退職前に加入していた健康保険については退職後2年間加入し続けることもできます。任意継続被保険者の場合の保険料は被保険者分だけでなく会社負担分もあり、在職中の2倍になりますが、計算の基になる標準報酬月額には上限額があります(協会けんぽの場合は30万円。健康保険組合の場合はこれよりやや高いこともある)ので、実際それほど増えないこともあります。任意継続被保険者の場合のほうが国民健康保険加入の場合より保険料が低いことも十分ありますので、両者を比較検討のうえ、退職直後の加入を決めるといいでしょう。任意継続被保険者になるには、被保険者資格喪失日(退職の翌日)から20日以内に手続きをする必要がありますので、忘れずに早めの手続きが必要です。

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