英国知識人を見事だました「嘘の台湾誌」の内容 希代のペテン師執筆、見抜いたのはあの科学者
「日本人」として生きることを思いつく
ジョルジュ・サルマナザールは、1680年頃に南フランスで生まれました。本名はわかっていません。幼少期は、修道士が開く寺子屋のような場所でさまざまな学問に触れ、宗教学や論理学、ラテン語の才能を開花させます。
その後、サルマナザールもまた地域の家庭教師として生徒の指導を行うようになりました。ところが、訪問先の生徒の母親から誘惑されるといったことから、自分の職に嫌気がさし、身分を修道士と偽りながらヨーロッパ各地の放浪を始めるのです。
旅を続けるなかで、イエズス会派の宣教師たちとも交流を持ち、ある時、遠い異国の「日本」なる国の話を耳にします。ニセ修道士として、その日暮らしの生活に限界を感じていたのか、サルマナザールは突如、「日本人」として生きることを思いつくのです。
その後、食い扶持を稼ぐためにスコットランド軍の新兵募集に応募しました。日本人を自称する謎の異教徒に対して、兵士らは各々宗教的な議論を持ちかけます。もともと博覧強記で頭脳明晰の“日本人”は、簡単に相手を煙に巻きます。


















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