日経平均株価が今後も上昇しにくいと読む理由 日本株は投資家に見放されているかもしれない

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一方、前回の4月12日付当コラム「方向感のない日経平均の先行きに潜む『リスク』」」でも指摘したように、米中の対立が深まっている。さらに、アメリカの同盟国としての日本の立場を踏まえると、日中間の経済関係の悪化が生じうる。

とくに4月16日に表明された日米首脳会談後の共同声明において、人権問題では「香港」「新疆ウイグル自治区」、中国の領土的野心では「東シナ海」「南シナ海」「台湾海峡」といった具体的な地名が盛り込まれ、対中牽制の姿勢が示された。とりわけ「日本企業の現状に対する危機意識が薄いのではないか」と判断して、日本株への投資を手控えする海外投資家も少なくないようだ。

投資家は、すでに日本株離れを起こしている?

こうした日本株の魅力の、他国に比べての相対的な低下は、さまざまな投資家において共有されているように見える。

先週公表された東証1部の投資部門別株式売買状況を見ると、海外投資家は、4月第1週の4417億円の買い越しから、第2週は小幅ながら30億円の売り越しに転じた。前述のように、日本の企業収益の先行きについて、内需と外需の両面から疑義が膨らんでしまえば、とくに個々の企業収益の実態を吟味する長期の外国人投資家にとっては、日本株の魅力は後退したと判断されているのだろう。

一方、株式先物については、海外投資家は第1週の1403億円の買い越しに対し、第2週は金額が減りながらも585億円の買い越しを保っている。これは、4月に入って月半ばまでアメリカの株価指数が堅調に推移したため、日米間の株価の順相関に賭けた向きが、日本株の先物に買いを入れたためだと推察している。

ところが、30日の移動相関係数(移動平均を算出するのと同様の要領で、直近30日間の相関係数を日々計算する)を、日経平均とダウ平均株価で見ていくと、今年1月初には0.95辺りと高い相関を示していたものが、最近は大きく低下して4月15日には0.1を下回っている。さらに21日以降はマイナスに転じている。

このように数値で示さなくとも、体感的に「アメリカ株が上がっても日本株はダメだ」ということは多くの投資家が気づいてきている。おそらく海外短期筋は、今後はアメリカ株が上昇する局面でも、日本の株価指数先物を買わなくなってくるのではないだろうか。

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