日経平均株価が今後も上昇しにくいと読む理由 日本株は投資家に見放されているかもしれない

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ところが実際には、安川電機が4月9日引け後に発表した決算の内容は、前2021年2月期の連結営業利益が前々期比12%の増益、今2022年2月期の同利益は前期比55%の増益予想だったにもかかわらず、週明け12日の同社の株価は前日比7.1%も急落した。

3月本決算企業でも、例えば日本電産(22日発表)の前2021年3月期の営業利益は前々期比47%増益、今期の同利益見通しは前期比13%増益と、やはり堅調だった。しかし、同社の場合も、翌23日の株価は5.1%下落している。

こうした「好決算で株価が売られる」という現象に対しては、後付けで「市場の事前の期待に届かなかったから」と片づけられている。だが、投資家の間では「いったいどういう決算内容になれば株価が上がるのか、皆目見当がつかない」と、材料と株価の関係に対する不透明感が高まっているようだ。

材料の好悪がしっかりとしており、その内容によって株価が明快に上がったり下がったりするという展開ではなく、投資家心理の振れも含めて株価が方向感なく上下するという相場つきが、これまでのように続くだろう。とすれば、事前に「○月×日に、これこれこういった好材料となるイベントが予定されているから、そこで株価は大底をつける」といった見通しを立てることは、ますます困難になる。

「下押しの可能性」を意識しつつ、徐々に買い溜めを

今後は、懸念しているように、日々の株価は上下に触れながらも、それを繰り返しながら傾向的にはだらだらとした下げ相場が続く、という展開に陥りそうだ。

つまり、明確に大きくは下落せず、実際に大底を通過しても明確に大きくは上昇しない、という株価の推移になりうる。とすれば、いったいいつどこで最安値を形成したかは、もしかすると数カ月経ってから振り返っておぼろげに判断できる、という事態になるかもしれない。

欲張って最安値で買おうというのは無理だろう。引き続き、日経平均の短期的な安値メドは2万7000円辺りだと予想してはいるが、最安値が2万6000円でも2万8000円でもおかしくはない。ただ、さらなる株価下押しの可能性が高いと覚悟しながら、現局面から徐々に買いだめていく方針がよいだろう。

「正確な最安値の水準と日時がわからないと困る」という人は、筆者ではなく、それがピタリとわかる専門家を見つけ出すことを、手を合わせてお祈りする。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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