大量の水で薄めても、なかなか魚の棲めるCOD値には下がらなかった。もちろん家庭から出る生活排水はカップ麺の残り汁だけではない。みそ汁1杯を魚の棲めるCOD値にするには1410L、牛乳カップ1杯(200mL)だと3000Lの水が必要になる。
もちろん、こうした生活排水は下水処理場で環境に負荷を与えないレベルに処理されてから河川に出る。ただ、その過程では、大量の水とエネルギーがかかるということは覚えておきたい。
下水道には2つの種類がある
また、下水道には合流式と分流式の2種類がある。
・下水道が1本ですむので建設費・維持管理費が少なく、ほかの地下埋設物との競合が少ない
・管径が大きく勾配が小さいため汚物が管内に堆積しやすい
・大雨などで対応できる流量を超えると、未処理のまま河川などに放流される。そのため水質汚濁を招く可能性がある
・下水道が2本必要で建設費・維持管理費が高く、ほかの地下埋設物と競合する
・汚水は下水処理場で処理されるので、河川や海への流出はない
・道路などが汚れていた場合は、雨水はその汚れとともに河川や海に放流される
合流式の下水道の場合、大雨の時にあふれ、生活排水が下水処理場に到着する前に環境中に出てしまう場合がある。だから、「台所から汚れを流しても大丈夫」ではないこともあるのだ。
さらに、排水口に流された油分は、冷えると固まって管の内側に付着し、パイプ詰まり、腐食などの原因となる。オイルボールといった浮遊物となり腐敗して悪臭を発生することもある。分解しきれない油が時間の経過とともに酸化され、水中の酸素を消費し、生物などに影響を及ぼし、魚の大量死につながるケースもある。
ヘドロ化すればメタンガスと亜酸化窒素など温室効果ガスの発生につながる。メタンガスの地球温暖化係数(二酸化炭素を基準に他の温室効果ガスの温暖化能力を示した数字)は二酸化炭素の25倍、亜酸化窒素は298倍ある
残り汁(醤油味)を下水道管内の温度(年間平均10度)の環境に2時間おいたところ、わずかだが、油分が浮いているのが目で見てわかった。
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