スクープ!旭硝子が5年ぶりにリストラ断行 40歳以上の役職者に退職勧奨を開始

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対象者の約1割に当たる300人程度を削減すれば、単体ベースの従業員数が全体で6000人以下に絞られる。その結果、2015年12月期に40億~50億円程度の利益底上げにつながりそうだ。

業績は2010年度がピークだった

旭硝子は、ITバブルが崩壊した2000年代初頭から、国内の工場閉鎖を伴う大規模なリストラ策を間断なく実施してきた。製造ラインの選択と集中が功を奏し、薄型テレビ用のTFTガラス基板が東アジアで高成長を遂げた。リーマンショック時にも最終赤字に転落しない筋肉質の収益構造が自慢だった。

石村社長(写真)就任後3期目となる2010年度に業績はピークを迎えた(撮影:梅谷秀司 撮影は2010年4月)

石村社長が就任して3期目となる2010年度には、政府のエコポイント制度による薄型テレビ向け液晶ガラス基板と自動車用ガラスの出荷増と、リストラの効果で、営業利益率が17%台に達するなど、業績はピークを迎えた。これを受けて、株価も1100円台に乗せた。

ところが、2011年の東日本大震災をきっかけにして外部環境が一変。利益率は続落の一途をたどった。液晶ガラス基板の価格は下げ止まらず、円安による燃料や部材の調達コスト上昇も重なった。

国内唯一の収益柱であるTFT液晶ガラス事業だけでは、赤字が拡大している建築用ガラスなど、ほかの国内事業を支え切れなくなっていた。足元の株価も600円前後まで落ち込んでいる。

旭硝子はこうした外部環境の厳しさを直視して、研究開発費や減価償却費の抑制のほかに、2年間で100億円の全社的な経費削減目標を期初に発表した。だが、こうした施策では海外を含めたグループ全体の事業基盤を守り切れないと判断。国内の採算向上に効果が大きい人的リストラを断行することにしたもようだ。

古庄 英一 東洋経済 記者

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ふるしょう えいいち / Eiichi Furusho

2000年以降、株式マーケット関連の雑誌編集に携わり、『会社四季報』の英語版『JAPAN COMPANY HANDBOOK』、『株式ウイークリー』の各編集長などを歴任。

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