「書くこと」が苦手な人が知らない「文章の型」 ビジネスでも入試でも役立つ「超実践的」文章術

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具体的な内容を最初に3つあげ、最後に抽象的な内容でまとめています。意見を述べるときには、このように「具体 → 抽象」の流れにすると、すっきりとしたわかりやすい文章になります。

また、アイディアが思いつかないときには、できるだけたくさん具体例を列挙していくと、思考の手がかりを得ることができます。試験問題で時間がないときなどは、具体例を使って書き始めると、自ずと結論が見えてくるものです。いきなり抽象的な思考をするのは難しくても、具体例ならずっと出しやすいはずです。

このように、具体的な事柄から一般的な理論に持ち込む思考法は「帰納法(きのうほう)」とよばれます。

抽象論だらけの文章に注意!

私がしつこく生徒に「具から抽!」と伝えているのは、抽象論だけを展開する生徒が一定数いるからです。とくに東大をめざすような子は、抽象論を操ることが得意で、それだけで解答を仕上げてきたりします。一見よさそうな文に見えるのですが、読んでもすっきりと頭に入ってきません。読み手が実感を持てず、納得度が低いのです。読み手を納得させられない文章は、いい文章とはいえません。

先ほどの「レジ袋の有料化をどう考えるか」について、抽象論だけで展開した解答を、参考のために見ていきましょう。

<抽象論だけの解答例>
海は生物多様性の宝庫である。さまざまな生物が、海のなかに暮らしている。その海の自然が、プラスチックゴミによって失われようとしている。このように海の汚染が進めば、水産資源の豊かさが失われるだけでなく、絶滅の危機にある生物の存続も危うくなるだろう。魚を消費する私たちは、この問題に無関係ではない。自然の破壊はあっという間だが、回復には気の遠くなるような時間がかかる。美しい海を未来へと引き継ぐために、今の私たちができることをしていかなければならない。レジ袋の有料化は、海を守り持続可能な社会を実現することに貢献するはずだ。
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