「やる気のない人」を劇的に変える質問のコツ

人は「自分で選んだこと」であれば頑張れる

「学校以外の勉強時間は、どれくらいを考えているのだろうか?」

ナフィーズがそう尋ねると、返ってきた答えはびっくりするほど短い時間だった。たいていの学生は1週間に5時間ぐらいと答える。どんなに長くても10時間だ。カリキュラムが終わるころには合計で50時間ほどになっているだろう。しかし実際に必要な勉強時間は、200時間から300時間だ。これでは遠くおよばない。

しかし、ナフィーズが現実を説明しても、学生たちはただぽかんとした顔をしているだけだ。彼の言葉を信じないか、あるいはこれはムリだと恐れをなして学校をやめていく。初日からそんな厳しい話は聞きたくないという心理だろう。

「なんでこの人は、そんなに勉強しろ勉強しろと言うんだろう?」

もちろんナフィーズも、学生のやる気をそぎたいわけではないが、現実は知らせなければならない。学校以外の勉強時間がもっと必要だということを、どうにかしてわかってもらいたかった。学生たちが思っているよりも厳しい試験だということを理解してもらいたかった。これは考えているよりもはるかに長時間の勉強が必要な試験であり、一夜漬けは通用しない。

命令ではなく質問をする

そこでナフィーズは戦略を変えた。「○○時間勉強しなさい」と言うのではなく、学生たちの希望を尋ねることにしたのだ。彼は教壇に立つと、まずこう尋ねた。

「きみたちはなぜここにいるのか? きみたちの目標は? なぜGMATを受験しようと思ったのか?」

「一流ビジネススクールに入りたいからです」と、ある学生が答える。

「なるほど。それでは、GMATで何点を取れば一流ビジネススクールに入れるだろう?」

「720点」とある学生が答えた。「750点」と別の学生が言った。

「その点数を取るにはどうする?」とナフィーズは尋ねた。

そこから学生たちの間で活発な議論が始まった。話し合いの過程でわかったのは、GMATの受験者は毎年25万人ほどいるということ、そしてトップ20のMBAプログラムに入学できるのは約1万人ということだ。これはかなりの狭き門だ。ここまでくると、学生たちも思ったよりも大変そうだということが実感として理解できる。

そこでナフィーズは本題に入り、必要な勉強時間を学生に考えさせる。

「それでは、トップMBAに入学するために必要な点数を取るには、いったい週に何時間勉強すればいいだろう?」

そこで学生たちは、自分たちが答えを知らなかったことに気づく。

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