なぜ英ポンドは、主要国通貨で最強なのか イングランド銀行は年内に利上げも?

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第2に、BoEのカーニー総裁が6月12日の講演で、最初の利上げは「現時点の市場予想よりも早くなる可能性がある」と述べたことで、市場が利上げ予想時期を修正したことがポンドを一段と押し上げた。バークレイズも堅調な英景気回復やBoEのタカ派シフトを受け、利上げ時期見通しを2014年10~12月期と従来の2015年4~6月期から前倒ししている。これはBoEが主要中銀のなかで、最初に利上げに踏み込む可能性を示唆している。

賃金上昇圧力は限定的、インフレ率下振れの可能性も

英景気の堅調さやBoEの早期利上げの可能性を踏まえると、ポンド相場は下支えされ続ける公算が大きい。ただ、米経済の堅調さやFRBの利上げ観測から見込まれるドル高を踏まえると、年内のポンド/ドル相場は、現状とあまり変わらない1.71前後のレンジで推移する見通しだ。

ポンド相場に対する最大のリスクは、インフレ動向だろう。CPI(消費者物価指数)前年比上昇率は、今年1月にプラス2%を割り込んで以来、徐々に減速しており、5月にはプラス1.5%まで鈍化している。こうしたなか、BoEはCPIが2016年末までプラス2%を下回り続けると予想している。こうした背景には、ポンド高による輸入物価の下落や賃金の伸び悩みがあった。

今後のインフレ動向を見る上では、賃金動向が焦点となろう。上述の通り、労働市場の改善にもかかわらず、賃金上昇圧力はなお限定的だ。基本給の前年比上昇率は4月時点でプラス0.9%と低調だ。賃金上昇圧力が弱いなか、今後インフレが下振れした場合、BoEの利上げペースに対する見方が修正される可能性もあろう。そうなれば、英金利低下を通じてポンド高が抑制されよう。

門田 真一郎 バークレイズ銀行東京支店 為替ストラテジスト

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かどた しんいちろう

 

米UCLA経済学部卒。2008年バークレイズ証券株式会社に入社。調査部にて銀行戦略調査を担当した後、 2009年に外債ストラテジー・チームに異動し、米国を中心にカナダ・メキシコを含む北米地域の経済・市場動向の調査を担当。 2013年にバークレイズ銀行に異動し、為替ストラテジストに就任。海外拠点の為替・金利・経済チームとのネットワークを活かし、為替市場見通しのほか海外経済・政治動向などについて幅広い情報提供を行っている。

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