東洋エンジ、「脱化石燃料」で経営再建の成否 アンモニアと再生可能航空燃料で狙う再浮上

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実際、東京電力と中部電力の合弁会社で、国内最大の火力発電設備を有するJERAは2020年10月、石炭火力発電所でアンモニアを混ぜて燃やす「混焼」からスタートして、2040年代からアンモニアのみでの発電を始める計画を公表した。燃料アンモニア領域はまさにこれから伸びゆく領域だ。

こうした需要に対応するために、東洋エンジは2020年12月に伊藤忠商事やロシアのイルクーツク石油会社などと、東シベリアで生産したアンモニアを国内の発電事業者向けに輸送する事業について共同事業化調査を行うと発表した。

燃料アンモニアをカーボンフリー化するためには、アンモニアの生産過程で生じるCO2を分離・回収することが重要だ。東シベリアの事業では、生じたCO2を油田に注入することで原油増産に活用する。東洋エンジなどは、実際にこうした事業が成り立つのか検証する予定だ。

米国のエチレンプラントで苦戦

国際民間航空機関(ICAO)は2021年から2050年まで、CO2の排出量を年平均2%改善するとの目標を示しており、航空会社各社はその対策に追われている。木材チップや都市ごみなどを原料として製造するSAFは需要増が確実視されている。東洋エンジが長年取り組んできた合成ガス技術を強みにどこまでSAF領域に食い込めるかが、成長を遂げられるか否かのカギを握る。

東洋エンジの業績はこれまで苦戦続きだった。象徴的なのが信越化学工業子会社から受注したアメリカのエチレンプラントプロジェクトだ。2016年に建設を開始したものの、工事遅延やハリケーンの影響に苦しめられた。人件費も高騰し、追加の建設費用は雪だるま式に膨らみ、多額の追加費用を計上する事態に陥った。

その結果、2018年3月期に268億円の最終赤字に転落。自己資本比率も2018年3月期に10%を切る水準にまで落ち込んだ。一般的にプラント会社は自己資本比率が20%を切る水準だと案件の入札に支障が生じるといわれており、東洋エンジは危険水域にいると言っても過言ではなかった。

不振の東洋エンジに手を差し伸べたのは筆頭株主である三井物産ではなく、投資ファンドだった。2019年3月にインテグラルなどが約150億円の優先株を引き受け、自己資本比率は2020年12月末時点で16.6%に回復している。ただ、競合他社の平均値である32%にはまだ遠い。

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