「値段のない料理店」の店員がやたら前向きな訳 飲食店の未来は「サステナブル」が武器になる
「食のサステナビリティの問題を発信する」というコンセプトから生まれた「値札のないランチ」は、副次効果としてスタッフの自主性や「考えて動く力」をも引き出した。換言すると、スタッフが「経営者目線」で動くようになったのだ。
石関氏の気まぐれとも受け止められた一昨年末の「サステナビリティ宣言」から1年超。よもやのコロナ禍で長期の休業を余儀なくされたが、石関氏は満足そうな表情を見せる。
「会社の方向性を『サステナビリティ』に振り切るからには、社員が“SDGs(エスディージーズ)のバッジ”を着けて満足するような会社には絶対にしたくなかったんです。この4カ月間を社員研修に投じたことは間違っていなかったと自信を持って言えます」と石関氏は胸を張る。
次の休業期間も社員研修の日々
これまで数多くのホテル、旅館、アミューズメント施設の再生に携わってきた石関氏はその「経験値」から、「人こそが企業の収益を生む」と信じている。経営がうまくいっていない施設はほぼ例外なく、人やチームに問題を抱えている。例えば、古参の料理長の威光が強いあまり、フロントスタッフがお客様の意向やクレームを伝えにくくなってしまうという状況がその典型だ。
部門間の「壁」を取り払ってチームで協力し合う風土を築くことで、職場に活気が戻り、事業が好転する。石関氏は何度も、それを現場で目の当たりにしてきた。その経験から、困難な状況においても、いや困難な状況だからこそ、人に投資することにためらいがない。
レストランが入居しているホテルは、2021年4月19日より6月末まで入国管理隔離施設に指定され、再び休業を余儀なくされる。ところが、石関氏の表情はどこまでも明るい。「今度の休業が待ち遠しくて。もう一度、社員研修をみっちりやる予定です。研修を通じて社員がまた一段とアップデートした姿を見るのが楽しみです」(石関氏)。
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