テスラを侮る人に知ってほしい「評価される訳」 利益の源泉をハードからソフトへ移しつつある

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単なるEVメーカーと侮っていると本質を見誤る(写真:David Paul Morris/Bloomberg)

以上のようなシステムを通じて、テスラは顧客の車両から走行データを収集できる。

これは、自動運転のシステムを開発するための貴重なビッグデータになる。

走行距離でいえば、グーグルの子会社であるウェイモが圧倒的なデータを蓄積している。しかし、テスラは顧客の車両からそれよりさらに多くのデータを収集している可能性がある。

だから、自動運転の分野でも、テスラが世界のトップになる可能性がある。

2019年、テスラは、完全自動運転技術を使ってライドシェア市場に参入する構想を発表した。これは、「テスラネットワーク(自動運転タクシーネットワーク)構想」と呼ばれる。

これを用いると、テスラ車の所有者は、自分が乗らない時間には、自分の車を自動運転モードのタクシーとすることによって、収益を得ることができる。

また、テスラは、Uberと同じように、利用のたびに顧客からプラットフォーム料金を徴収できるだろう。

これも、テスラの収益に寄与することになる。

ソフトウェアの価値を利用できる

これまでの自動車産業は、ハードウェアの生産だった。

EVになると部品数が劇的に減少し、組み立ても容易になることから、ビジネスモデルの再構築が必要といわれてきた。

それは、ソフトウェアによって付加価値を生むような仕組みだ。

自動運転になれば、ソフトウェアの比重が増大し、自動車産業は、ハードウェアの生産ではなく、ソフトウェアを付加価値の源泉とせざるをえなくなる。

現在のような系列構造と巨大な生産体系を維持しようとすれば、制御不能なレガシーになってしまう危険がある。

テスラは、以上で述べたビジネスモデルを開発したことにより、ソフトウェアによって収益をあげることに成功したのだ。

ソフトウェアとデータに利益の源泉が移れば、爆発的な成長が可能になる。これこそが、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と呼ばれる企業群が実現したことだ。テスラは、自動車の生産において、そのことを可能にしつつある。

その時価総額が急激に増加している基本的な理由は、ここにある。

日本の自動車産業は、このように大きな変化に対応できるのだろうか?

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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