ベンツ新型Sクラス、乗ってわかった進化の神髄 気分高まるドライバーズカーになったからこそ

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Sクラス初採用の後輪操舵も効いているのは間違いない。新型Sクラスは従来に比べ全長、全幅が拡大されているが、これによって従来以上によく曲がる、軽快な印象すら実現しているのだ。これは市街地でも有効で、Sクラスの伝統であるサイズからは想像できないほどの取り回しのよさは、しっかり継承されている。

エンジンはSクラスと言えば当然V型8気筒……と思いきや、当初用意されたのは直列6気筒3.0Lのガソリンとディーゼルの2種類である。ガソリンはターボチャージャー、電動コンプレッサー、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を組み合わせたもので、搭載されるのはS500 4AMATIC。一方のディーゼルはS400d 4MATICに搭載される。その名のとおり、いずれもフルタイム4WDである。

それだけ複雑なシステムが組み合わされているにもかかわらず、S500 4MATICはまるでギクシャクしたところを感じさせることなく、アクセル操作に瞬時に応える小気味よさと、爽快な吹け上がりという極上のフィーリングを体感させてくれる。

S400dはディーゼルと意識させない仕上がり

一方のS400d 4MATICは、さすがディーゼルというトルクの太さが印象的。しかも回転上昇は滑らかで騒音、振動も言われなければ特段、ディーゼルと意識させない仕上がりなのだ。

新型Sクラスはボディ構造に一体化された発泡遮音材、ノイズ軽減ガラスの効果的な使用、さらには試乗したAMGパッケージに含まれる静音タイヤなどによって、室内を非常に静かな空間に仕立てている。ディーゼルでは、それがさらに際立ったということだろうか。個人的には、このS400d 4MATICのほうに惹かれた次第である。

これまでどおり、ボディには標準とロングのふたつのサイズがあり、後者はホイールベースが110mm長い。その分はすべて後席スペースに割り当てられていて、オプションのコンフォートパッケージを装着すれば、大型フットレストやマッサージ機能などが付き、最大43.5°のリクライニングも可能に。リアエンターテインメントシステムも備わる寛ぎの空間だ。完成度も当然申し分なく、ショーファードリブンとして、これまでどおり活躍することは間違いないと感じさせた。

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