富士通は信用回復できるのか、露呈した企業統治への甘い認識

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 野副氏に対する、不適切な企業との関係を断つようにという注意も、秋草直之取締役相談役から09年2~3月の間に一度だけ。間塚道義会長や他の取締役からは一言もなかったという。にもかかわらず次の段階でいきなり辞任を迫るというのは、飛躍が大きく唐突な感は否めない。野副氏の急進的な改革が社内の反感を買ったのが原因ではないかという推測が出るゆえんだ。

間塚会長は、今回の反省として「最初から解職すべきだった」と言うが、野副降ろしを決めたのは、秋草相談役、大浦溥取締役と間塚会長の3人。他の取締役には個別に説明、説得したという。つまり、前述の6名の了承も、野副氏本人臨席の取締役会で議論されていない。

辞任会見後、「辞任する本人が欠席、病名もわからないという、不可解な会見は企業イメージを悪くするのでは?」という質問にも、代表権者からの確とした回答はなく、どこか責任感の希薄さを感じさせた。野副氏の会見でいみじくも看破されたように、権力の二重構造が透けて見える。

6月には取締役会メンバー6名が退任する。1998年から10年間、社長、会長を務め上げ、現在でも陰の権力者と目される秋草氏もついに取締役の座を降りる。だが相談役にはとどまる。

また、ガバナンスに関する反省も、信頼をどう回復していくのかに関しても、一切言及がない。野副氏一人を悪役に仕立てることで、本質的な改革をスルーするようでは、信用回復への道のりは遠い。

ガバナンスを生かすのは人

しかしこれは、ひとり富士通だけの問題とは言えまい。

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