小室圭さんの説明文書が「0点」と言える3つの訳 ビジネスパーソンも肝に銘じたい執筆の心構え

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ビジネスパーソンのみなさんも、社内に味方がいないと感じているとき、プレゼンで逆境のとき、不振や失敗の釈明をしたいとき、目の前にいる人や読み手のことを信じて話し、書いているでしょうか。これだけで読み手や聞き手の印象は大きく変わるので、自ら「信じていない」と思わせるようなフレーズは使わないようにしましょう。

結婚への思いより名誉回復を優先

3つ目のポイントは、最も成し遂げたいものから離れ、誰かを責めてしまったこと。

文書には、「母は令和元年(2019年)5月以降元婚約者の方との話し合いを継続してきましたが、その話し合いが終わっていないのにもかかわらず元婚約者の方の一方的なお話が記事になったこと、更にその内容の多くが残念ながら事実ではなかったことから、このまま否定や反論を一切することなく穏やかに話し合いを続けることは困難であると判断しました」「元婚約者の方との話し合いが途絶えてしまい、現在のような状況になっていることは、たいへん残念です」「金銭問題は解決済みだと主張したことに関しては一度もありません」などと母親の元婚約者を責めるようなフレーズが散見されました。

たとえそれらが事実であり、小室さんの名誉回復につながったとしても、それで国民感情が変わり、眞子さまとの結婚につながるとは思えないのです。

小室さんは文書の1文目に、「私と眞子様の結婚は平成30年(2018年)2月7日に結婚関係儀式等の延期が発表されて以来延期されていますが、令和2年(2020年)11月13日に公表された、眞子様が書いてくださった文書にもありますように、私と眞子様の気持ち、そして結婚に対する思いに変わりはありません」とつづっていました。本当はこの気持ちや思いこそ、最も大切にしたいものではないでしょうか。

しかし、その後28ページにわたる長い文章は、眞子さまとの結婚よりも自分の名誉を守ることに終始していましたし、そのために他人を責めるような言葉がありました。もし眞子さまとの結婚を第一に考えて思いをつづり、自分の名誉を守ることを優先させなかったら、もう少し国民感情を動かせた気がしてならないのです。

ビジネスパーソンのみなさんも文書では、「あれもこれも言いたい」と複数のテーマをつづるのではなく、「事実だから書いてもいいはずだ」と決めつけるのでもなく、最も伝えたい思いに絞って書きたいところ。2番目に伝えたいことや事実があるのなら、次のタイミングを待ち、段階的に伝えていく形のほうが現実的なのです。少なくとも、「どんなに優れた内容でも1つの文書で100点満点の結果を得ようとすること自体が難しい」ことは覚えておくべきでしょう。

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