「コロナで買いだめ」1年間の分析で見えた現実 1年前店頭から消えたトイレットペーパーの今

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その理由は、手指消毒剤は、傷口の消毒剤とともに「消毒剤」として、非接触式体温計は接触式体温計とともに「体温計」として分類されているため。実は手指消毒剤だけ切り出すと142.6%と、血圧計を上回る伸びだ。

一方、非接触式体温計は88.4%と前年割れ。これは昨年、供給が追いつかなくなった時期が、非接触式体温計のみ他の2つより遅れたことが影響している。

ネットの口コミ効果でビタミン剤が急伸

伸び率2位から5位は、「新3種の神器」とはまったく異なる動きになった。

血圧計は、コロナ前は市役所や病院、クリニックの待合室やスポーツクラブなどに設置されていて、自由に計測することができた。だが、コロナ下では不特定多数が接触する物品として一斉に撤去されてしまったため、タダで測定できる場所を失った人たちの需要を取り込んだものと見られる。

とはいえ、消耗品のマスクや手指消毒剤のようなハネ方をしなかっただけでなく、同じく消耗品ではない非接触式体温計とも異なり、1000%、2000%といった単位の伸びは見せず、120%~160%あたりで推移している。

ヘアトリートメント剤も、美容師と至近距離での接触が長時間続く美容院通いの頻度が低下。自宅で染色したり縮毛矯正をしたりする需要による伸びと見られるが、おおむね110%~140%前後のレンジで推移している。

一方、ビタミン剤は、「アリナミン」が疲れをとるということが2月中旬にネット上で話題になったとたん急伸し、2月22日週は前年比134.4%で全品目中伸び率3位に躍り出た。

昨年は1月最終週と12月1週目のみ、100%をかろうじて超えたが、それ以外は一貫して1~3割前後の前年割れが続き、「コロナで売れなくなった商品」と言っていい状況にあった。

うがい薬のイソジンや麦芽飲料のミロ同様、ネットの口コミ効果は侮れない。4位の鼻炎治療剤が伸びたのは、今年は去年より花粉の飛散量が多いから。

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