漫画「進撃の巨人」完結で知る担当編集者の秘話 新人の漫画家と編集者が二人三脚で歩んだ軌跡

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100冊完売し、新ギネス世界記録として認定された『巨人用 進撃の巨人』(出所:講談社)

『進撃の巨人』はこれまで、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)でのアトラクション化、JRA「進撃の有馬記念」、メルセデス・ベンツやスマホゲームなど、さまざまな企業と話題性のあるコラボを展開しSNSで拡散されてきた。

『進撃の巨人』の単行本を1冊でも多く売るために、1巻から版権を開放して読者にPVを作ってもらったり、「世界一大きな書籍『巨人用 進撃の巨人』」「キャッチコピー総選挙」「旅するコミック」など展開した宣伝企画をあげるとキリがない。「進撃は世界一、宣伝に挑戦した作品だ」とも言われている。最も思い出深いプロモーションを川窪が振り返った。

「渋谷駅の屋外広告に1話目から28巻くらいまでを全ページ掲出しました。横20メートルくらい、貼ってあるという状態。変なことやったなと思います(笑)。あとは、2014年に60メートル級の超大型巨人を3D映像でビルに投影するプロジェクションマッピングを川崎市でやりました。

進撃の巨人プロジェクションマッピング "ATTACK ON THE REAL" ダイジェスト / Titan Projection Mapping 《公式》(出所:YouTube KODANSHAcojpチャンネル)

クライマックスには、壁を突き破り、超大型巨人が姿を現す。あれは思い出深いですね。60メートルのものを投射するため映像が道路をまたぐんです。道路使用許可が必要で警察に警備をお願いしなければならなくて。街中で60メートルのプロジェクションマッピングをやった作品って、『進撃』くらいじゃないですかね」

唯一、熱望しながらも実現に至っていない企画の構想があるという。

「1/1ジオラマで『進撃』の世界を再現したいです。過去に上野の森美術館で展覧会をやったのですが、そのときにエレンが生まれた街シガンシナ区を1/1ジオラマで再現して、“巨人に踏み潰されて壊れてる建物”や、“屋根から顔をのぞかせている巨人”などをやりたかったのにできなくて。一番やりたいことが、唯一できていないことなんです」

サウジアラビア人にも届いた世界観

川窪は、Twitterで『「進撃の巨人」担当編集者バック』のアカウントを運用し、15万人のフォロワーを抱える。川窪によればフォロワーの7割は外国人だという。『進撃の巨人』は海外22カ国で合計1200万部を売り上げた。世界中でコスプレが楽しまれ、ハリウッドでの実写映画も決定した。YouTubeでアニメを放送すると外国人からのコメントがほとんどだ。

作品が世界に届いていることを肌で実感したエピソードがある。

「サウジアラビアでイベントが開催された際、『進撃の巨人』もステージを持ってやってほしいとオファーがありました。ステージをやったら、おそらくサウジアラビア人だと思うのですが、『進撃の巨人』のアニメの曲を大合唱してるんですよ(笑)。サウジアラビアの人にも届いているんだなと感動しました」

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