コロナ禍こそ絶好機「幸福を高める学び」実践法 趣味を極めていくだけでも成果は見込める

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「世界で自分しかできないことなんて無理」「それほど好きなことがない」と、ハードルが高く感じる人は、ちょっと好きなことでも本格的にやってみればいいんです。そうすると、だんだん得意になってきて、周りから聞かれることも増えるので、余計好きになります。

つまり、好きだから得意になり、得意だからもっと好きになる、という好循環が生まれるんですね。

――「好き」と「得意」の好循環が続けば、そのジャンルでいつか突き抜ける可能性もある。

そうです。好きでも商売にならないからと、すぐあきらめる人が多いんですが、仕事にならなくても好きなことをやって幸せならいいわけです。

まず幸福感を得ることが大事で、その経験が好きと得意の好循環につながっていけばラッキーと思うくらいでいいんです。そのうち気がつけば、副業になっていた、本業になっていた、なんていうことはよくある話です。

それでも、やりたいことが何もない人は、自分が属する組織、チーム、コミュニティで他がやっていないことをはじめてもいいと思います。誰かの真似じゃなければ、自分が頼りにされたり、仲間と協力し合うことで成長して幸せを感じられますから。

幸せかどうかを毎日チェックしてみる

――前野先生の研究室で考案した「カレンダー・マーキング法」も、自分にとって幸せなことを認識したいときに使えそうです。

カレンダー・マーキング法は簡単で、毎日寝る前にその日が幸せだったかどうか振り返って幸せだったら◎、中ぐらいだったら○、不幸せだったら×をつけます。そして、その理由を一行で書くだけです。

『99.9%は幸せの素人』(KADOKAWA)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

これをしばらく続けていると大半の人は、自分が「これがあると幸せ」「これが増えると幸せ」と思っていたものが、実は間違っていたことに気づかされます。

僕も、もともと何かを創造することが幸せだと思っていたんですが、自分のマーキング・カレンダーを見ると、幸せな日は人と会った日だけ。意外と自分は人が好きだったんだ、と気づかされました。

そのように、内面にあるものを10個でも100個でも書いて外に出すと、メタ認知ができて、自分という人間を冷静に眺められるのです。自分のことって、わかっているようでわかっていません。何かを学ぶにしても、まずは自分にとって何が幸せかを知ったうえで、自己理解を深めることが必要だと思います。

前野 隆司 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授

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まえの たかし / Takashi Maeno

1984年東京工業大学工学部機械工学科卒業、1986年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、同年キヤノン株式会社入社、1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て、2008年より慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授。2011年4月よりSDM研究科委員長。この間、1990年-1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。
 

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