中国が開発、350km「高速貨物列車」成功するのか 新幹線は「貨客混載」開始、欧州では実例もある

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また、欧州でも早い時期から高速列車網を整備したフランスでは、かつてフランス郵政公社による高速郵便列車「TGV La Poste」が存在した。最初期の旅客用TGVをベースとして開発された車両で、1984年に運用開始。最高時速は270kmで、郵便物や小包などの輸送用として2015年まで走っていた。

TGV La Posteは2012年、五輪開催を控えていた英ロンドンに向けて英仏海峡トンネルを通り、国際高速列車ユーロスターの発着駅であるロンドン・セントパンクラス駅に試験的に1度だけ乗り入れたことがある。

当時の説明では、英仏ともに空港や航空路の容量がギリギリで、国際クーリエ輸送を担うカーゴ機の代わりに高速列車を使おうという触れ込みだった。すぐに実用化されるのでは、という勢いがあり、環境問題などの背景を考えると検討の余地もあるアイデアだった。しかし駅での積み込みスペース確保の問題もあり、具体的な実用化に向けた検討が進むことなく破談となっている。

中国が小荷物輸送を見込んだとみられる高速貨物列車を開発する一方、フランスで高速郵便・小包輸送列車が6年前に廃止されたのはなぜだろうか。その理由としては、インターネットの普及で「翌日配達」が必要となる書類などの輸送需要が減ったことが大きかったほか、トラックから貨車にそのまま載せ替えられるコンテナ輸送のほうが、荷役の担い手確保を考えると現実的だったためなどとの説明がある。

ただ、現在まで存続していたら、Amazonをはじめとする通販サイトのサービスとの親和性があったかもしれない。

欧州や中国は実現しやすい?

高速列車で貨物や小荷物を運ぶ場合は、中国などのように「高速貨物専用列車」を造るか、それともJR北海道のように既存の旅客用高速列車の一部を使って「貨客混載」とするか、どちらかの方法を取ることになる。

欧州や中国などの長距離列車が乗り入れる駅では、プラットフォームにトラックなどの運搬車両が直接乗り付けられる通路やルートがある例が多い。こうした前提で、仮に高速貨物専用列車を導入した場合、航空機用のULD(もしくは専用のコンテナ)を列車に積み込むための投資は比較的小規模で済みそうだ。

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