(第34回)<石田純一さん・前編>全学バリケード封鎖により学問の本質を知る

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●生徒の興味をそそる、自主授業の中身

石田純一  自主授業で何をしたかというと、何でもよいから本を読む。今ならば、地学は松井孝典、生物ならデズモンド・モリスでも、リチャード・ドーキンスでも、ダーウィンでもいい。
たとえば、「鳥は雄のほうがきれいらしいよ。雌をとりこむためにね。ある意味、鳥の世界はフリーセックスで、雌もいっぱい浮気する。雌に選ばれるために雄はこんなことをする……」なんてことを話すのです(笑)。教科書に書いてあることよりもよほど興味が出るわけです。また、高校では名前くらいしか出てこないようなマルクス、エンゲルスみたいなものをテーマにしようと提案する者もいて、政治経済なのに思想の方で喧々囂々とやりあったりもしました。
 結果だけを教わるのではなく、それに至る過程や原因を考えてみる、ゆとりや詰め込み教育という以前に、立体的な、ストーリーのある、骨太な勉強をしていました。

 青山高校にいる連中は、いわゆるノンポリで、いい大学に入って、いい会社に入れればいい、成績さえよければそれでいいっていう、鼻持ちならない連中ばかりでした(笑)。それが自主授業により勉強の楽しさを知りました。
最初にバリケード封鎖をやられたときは、2対8くらいで反対が大勢でした。最後、警官隊が突入したときは8対2、いえ、9対1くらいで賛成が逆転していました。その逆転していく過程が印象的でした。ラディカルな経験でしたけどね(笑)。思想や哲学があって、そして結論が出て来るという順序を経験するのが興味深かったです。

●おしゃれで暴れん坊な野球少年

 中学時代は、遊んで、野球をして、あとはまあ、女の子とデートですね(笑)。勉強はあまりしませんでした。僕らの頃は、喧嘩は日常茶飯事、校内暴力なんかも当たり前。先生に正座させられて、顔を蹴られたりもしました。何度か停学にもなりました(笑)。たまたま勉強ができたから、青山高校に進学したのですが、そこでは喧嘩などないのです。「なんていいとこの子ばかり」って肩すかしにあった感じでした。

 暴れん坊は暴れん坊でも、素朴な暴れん坊は先生に好かれるのですが、僕みたいに、おしゃれで、知能犯なワルは目の敵にされました。まあ、おしゃれといっても、制服の下にVANのTシャツを着ているくらいで、たいしたおしゃれじゃありませんけど(笑)。
 上級生から目をつけられて殴られることもありました。他校の生徒ともやりあいました。でも、昔はみんなけんかのやり方を知っていて、ケガをするようなことはめったになかったですね。
(取材:田畑則子 撮影:戸澤裕司
石田純一<いしだ・じゅんいち>
本名:石田太郎。都立青山高校卒。早稲田大学中退。1954年1月14日、東京生まれ。
ドラマ「あめりか物語」(NHK/79)でデビュー。ドラマ「抱きしめたい」(CX/88)をきっかけにブレイク。トレンディドラマの火付け役。現在も、映画、ドラマ、バラエティ、舞台など、さまざまなジャンルで活躍。
趣味はゴルフと読書。特技は英会話。将来の夢は映画監督。
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