外資導入に本腰を入れる北朝鮮 国内のタンス預金も活用、必死の資金集め

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一方で、核実験やミサイル発射などを理由とする世界的な経済制裁が続くなか、外資導入よりは国内の資本を回収し活用しようという考えもある。

北朝鮮国内の学術論文が掲載される季刊誌『金日成総合大学学報』(2014年第1号)に、財政管理と国内資金の管理に関する論文が掲載され、注目を集めている。

「金日成・金正日主義によって明らかになった財政管理の基本方向と資金問題解決の方法」と題された論文には、「国のしっかりとした財政的土台を用意し、自分たちの力ですべての財政問題を解決していくこと、これこそまさにわが国の財政管理の基本方向です」という故・金日成主席の言葉を枕詞に、「資金問題の解決を他国の援助や借款に依存するならば、資金を自立的民族経済建設に効果的に利用できないだけでなく、不可避にも金融的隷属を免れ得ず、経済的にも他の国に隷属されうる」という硬い表現で指摘。要は、自国でしっかり資金を用意すべしという意味の文章が記されている。そのためには、各機関や企業所が生産性を高めて利潤を増やし、その利潤を国に収めることができるようにしっかりと管理せよという趣旨の記述が見られる。

外資が無理なら「タンス預金」も回収?

さらに「遊休貨幣資金」、すなわち「タンス預金」を国家が吸い上げて運用すべしとの記述も見られる。すでに「遊休貨幣資金を銀行に動員できる条件が用意されている」とし、「銀行がすべての機関、企業所の遊休貨幣資産を統一的に掌握・動員し、貯金と保険の空間を通じて住民の遊休貨幣を動員し、国の経済発展と人民生活の向上のための資金問題を解決する」と記述するなど、国内資本の有効な回収と利用を促すような内容になっている。

北朝鮮は2009年、「貨幣改革」と称したデノミネーションを実施、新旧通貨の交換によって外貨・内貨を回収しようとしたが混乱が拡大し失敗。当局も失敗を認め、当時の朝鮮労働党計画財政部の朴南基(パク・ナムギ)部長が処刑されている。

諸外国の外資誘致策を学んで実行に移すと同時に、国内資金の拡充も画策する。いまのところ、北朝鮮の経済政策の効果はまだ推し量ることができない。だが、少なくとも経済成長を狙った政策を打ち出し、それを有効的に実施していこうという意志が、はっきりと見える。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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