「アルケゴス騒動」と市場への影響をどう見るか みずほ証券のアナリスト・大橋英敏氏に聞く

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――今回は、いわゆるVIX指数(恐怖指数)もぜんぜん上がっていないですし、株価はむしろ堅調ですね。

結局、今般のブロック取引の対象銘柄も短期的な下落後に株価は回復しました。ブロック取引の背景がファンドによる強制的なポジション解消であるならば、買いたかった人にとってはむしろ買いチャンスととらえることもできたわけです。

マクロ・プルーデンス政策強化の難しさ

――先ほどノンバンクでもヘッジファンドなどは当局が監視しているというお話でしたが、今回の件でプライベートオフィスにも注目が集まりました。

投資銀行は、まずは自らのポジションを洗い出し、担保割れ寸前というような巨額なものがないか確認しているのだと思います。その結果、提供するレバレッジ倍率を低下させるなどの措置を取る可能性はあります。

また、規制当局がデリバティブ取引の証拠金率を高めるなどのマクロ・プルーデンス政策上の対応をする可能性もあるでしょう。ただ、そうした規制強化、マクロ・プルーデンス政策をどんどん強化することで、金融機関がポジションを取れなくなると、前述のように、一斉に売りが出たときに買い手がいなくなる、つまり、市場の流動性を枯渇させてしまうという、合成の誤謬によるリスクが高まる懸念もあります。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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