「30代は老後の年金をあてにできない」は本当か お金の不安がある人ほど年金制度を信じない

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2021(令和3)年度の年金額は、2020(令和2)年度に比べて0.1%の減額改定になりました。4年ぶりの減額改定です。国民みんなが受け取れる1階部分の老齢基礎年金の満額(40年保険料納めると満額です)は、「法定額78万900円×改定率」で毎年改定します。改定率を掛けることで、すごく簡単にいうと、世の中の賃金や物価が上がれば上がり、下がれば下がることになります。

今までは、給料は下がっているのに、なんで年金減らないの? という状況だったのですが、令和3年度は新しいルールが適用されて、賃金下落分と連動させて年金も減額となったのです。これは現役世代の負担増を抑えるためです。

公的年金と自助努力の「両輪」で老後資金を賄う

年金は、今の年金受給者の年金額を少し減らして、将来世代のために貯蓄しておく仕組みになっているということをもう少しお話しましょう。

今後、賃金や物価が上がった場合は年金額も上がりますが、「マクロ経済スライド調整」という仕組みがあって、その増え方は抑制されます。少子高齢化を見据えての対策です。年金をもらう高齢者も年々少しずつ長生きになっているのと、保険料を支払う現役世代の人口が減ることを計算に入れて考えられているのです。だから、将来、若い世代が受給できる年金が過度に減ってしまうということはありません。ちなみに令和3年度は改定率がマイナスなので、マクロ経済スライドは発動せず未調整分(▲0.1%)は翌年以降に繰り越しとなります。

でも、年金だけで老後の生活を賄おうとすると、買いたいものを我慢しなくてはいけないかもしれません。豊かさをキープするために、自助努力で「貯蓄」をすることが必要です。

大久保さんは、今後のさまざまな出費も考え、ライフプランに沿った「お金の人生設計」を立てました。確定拠出年金とつみたてNISAも活用して、ゆっくりコツコツ資産形成していくつもりです。「人生100年時代」の資産形成は、「長く働いて受け取れる公的年金をなるべく増やす」こと、そして「自助努力で資産形成をする」こと。その両輪で進めることがポイントです。

岩城 みずほ ファイナンシャルプランナー・CFPⓇ

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いわき・みずほ / Mizuho Iwaki

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でのコンサルティングほか、講演、執筆を行っている。
慶応義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年間活動後、会社員を経てFPとして独立。著書に増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)、『やってはいけない!老後の資産運用』(ビジネス社)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。HP

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