「30代は老後の年金をあてにできない」は本当か

お金の不安がある人ほど年金制度を信じない

人生100年時代、老後への備えは20代、30代から始める必要がある。そのためにも、年金の基本を知っておきたい(写真:ふじよ/PIXTA)

未来に思いをはせるとき、お金のことを避けて通ることはできません。

昨年結婚したばかりの大久保夏樹さん(31歳・仮名・会社員)と茉莉奈さん(30歳・仮名・会社員)は、2人の人生を前向きなものにしたいと、マネープランについて相談に来られました。時節柄、Zoomでのオンライン相談で、二度にわたりたっぷり2時間ずつ、前後のメールのやりとりも何度もあって、2人の新しい人生のスタートに伴走させていただいた思いです。

ここ2年ほど、こうした若い世代の相談が増えています。背景には、つみたてNISA (少額投資非課税制度)が始まったこと、イデコ(個人型確定拠出年金)が知られるようになったことがあると思います。しかし、大きな動機は、やはり「人生100年時代」ということでしょう。かつて「老後2000万円不足問題」もありましたね。長く続く老後、お金がいつまでもつのか心配になる人も多いことでしょう。

大久保さんたち1990年生まれの人が90歳まで生存する確率は男性が44%、女性は69%です。女性が100歳まで生きる確率は20%、5人に1人だそうです(厚生労働省「完全生命表」「簡易生命表」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口〈2017年推計〉」より試算)。「長生きリスク」は確かに存在しますね。末長く、幸せに安心して生きていくために、お金の問題をどう解決していけばいいのでしょうか。

老後のお金が不安な人に共通する「誤解」

実は、人生のお金について不安を抱く人に共通する「誤解」があります。

それは「将来公的年金はもらえないのではないか」「もらえたとしても、ほんの少しに違いない」と信じ込んでいることです。そのために、民間の個人年金保険に入って高い保険料を払っている人もいます。まずはその「誤解」を取り除くこと。

(出典:各種資料をもとに筆者作成)

長生きリスクをヘッジするためのいちばんいい方法は、「公的年金を増やすこと」です。会社員の2人は、毎月お給料から厚生年金保険料を天引きされていますから、すでに人生にビルトインしていますね。モデル年金額(夫が厚生年金に加入して男性の平均的な賃金で40年間就業し、その配偶者が40年間専業主婦であった夫婦に給付される夫婦2人の基礎年金と夫の厚生年金の合計額)は約22万円ですが、大久保さんのように会社員夫婦の場合は、ともに「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」を受け取れますので、より多い金額が期待できます。

公的年金保険は働けば働くほどメリットがあるように制度設計されていますので、夫婦で長く働き続けることによって受け取る年金額も増えていきます。毎月保険料を納めることで、給付を受ける「権利」を得ているとイメージしておいてください。出産育児をすることになっても仕事をやめないで続けてくださいね。

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