ラクオリア創薬「総会で株主完勝」の画期的事態 会社側提案を否決、質疑も中身あるやりとりに

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株主総会の通知書はすでに印刷されて株主に配り終えており、印刷し直す時間もない。総会での敗戦を予感したかのような、ドタバタ劇だった。

会社側は当初、株主提案にある監査等委員を含む取締役の選任・解任に反対してきたが、「昨日時点で(株主から)十分な賛同を得るに至っておりません」「円滑な当社経営体制の移行に協力すべきであると判断し」と述べ、株主総会前に事実上の敗北宣言を出した格好になった。

総会が始まってからも異例の事態は続いた。最初、谷社長が株主総会の議長として登壇したが、会社側が議案をすべて説明し終えた時点で、株主である柿沼氏から緊急動議が出されたのだ。議長の交代とコロナ禍を理由に入場制限をかけ、会場の外で待機を余儀なくされた株主の入場許可を要求するものだった。

質疑応答も中身あるやりとりに

結果は、会場内に鳴り響く拍手をもって柿沼氏の動議に支持が集まり、中西和幸弁護士が新たな議長に選ばれた。

その後の質疑応答も、株主の質問に対し、会社側の取締役と株主提案の取締役候補らが答える形で、ラクオリアの成長戦略などについて突っ込んだやりとりが1時間以上かわされた。とかく質疑が形骸化しがちな株主総会にあって、内実のある質疑が行われたという点でも異例と言える。

例えば、従業員と名乗ったある株主が「株主提案の考えは開発、臨床試験(に力を入れて)をやっていく方向だと理解するが、社内にはほとんど開発者はいない。どうするつもりなのか」と問うと、新しい取締役候補の武内氏が「従業員の方が言うのだから社内にリソースがないのは事実だと思う。すべて治験をすると言うことでなく、ニッチなものなどに対象を絞って創薬ベンチャーの体力も考えていく。開発者がいないなら外部から採用してチームで進めることも必要になる」と回答。

また、別の株主による「株主提案が通って取締役になっても、柿沼さんはブログやツイッターでの情報発信を続けるのか」という問いに、柿沼氏自身が「私もラクオリア社内の人間になるので、発信するのは少なくなるだろう。発信するにしても、会社で(出せるかどうかなど)話をしてからということだ」と答えた。

「この2年ほど、(他社への新薬候補品の)導出が少ないのはなぜか」という会社の成長に関わる質問には、会社側候補でもあった渡邉氏が「2年ほどないのはたしかだが、今年、来年と得意のイオンチャネルに力を入れている。順調に進んでいるので期待していてほしい」と答えた。

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