緩やかなドル高シナリオに潜む「重大リスク」 ソニーFH・尾河眞樹氏に聞く今後の為替見通し

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――2021年以降もドル高傾向が続くのでしょうか。

今のところ2023年3月末に1ドル113円程度を見込んでいる。その過程では、アメリカがテーパリングを始める前に株安になってリスク回避の円高になるなど、ある程度の振幅があったうえでの緩やかなドル高円安を想定している。

可能性は低いが、インフレが2%を超えて急激に加速し、FRBの早期引き締め観測が高まった場合、市場が大きく混乱してリスク回避の円高が進むこともありうる。対円では、ドル以上にユーロやポンドなど他の通貨の下落のほうがきつくなるだろう。

FRBの資産急膨張で市場混乱リスクも

――アメリカのテーパリング開始と利上げ開始のタイミングは。

今のところテーパリング開始は2022年1~3月期で、利上げ開始は2024年前半と予想している。

おがわ・まき/ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン証券などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部で為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後、シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長を務め、2016年8月から現職。ソニー銀行取締役、大阪経済大学非常勤講師、SBI大学院大学教授(撮影:尾形文繁)

――市場の一部には2021年秋にもテーパリングが始まるという見方があります。

もし市場の想定よりテーパリングが早まるような場合には、2013年の「バーナンキショック」のような金融市場の混乱が起きる懸念はある。今回、FRBのパウエル議長が慎重にならなければいけないのは、FRBの資産残高が急膨張しているからだ。

バーナンキショックが起きた当時は4兆ドル程度だったが、今はその倍近い。金融市場における中央銀行の存在感が圧倒的に大きくなっており、FRBが市場とのコミュニケーションに失敗すると、株式市場などが大きく混乱しかねない。

――ユーロについては2020年春以降、対ドルでも対円でも上昇傾向にありましたが、2021年に入ってからは対ドルで弱含んでいます。

ユーロ圏は全般にワクチンの普及が遅れており、変異株も広がってドイツが再びロックダウンに入るなど、景気がもたついている。ECB(欧州中央銀行)は緩和的政策をアメリカよりも長く続ける必要があり、足元で緩和を加速すると言っている。そのため、ただでさえドルの上昇圧力が強くなっている中では、ユーロは対ドルで上昇しにくいし、円に対しても弱くなる傾向にある。

次ページ日本株の下落はあくまで一時的
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事