電車・バス「ポイント制度」やめる各社の懐事情 JR東の「時差通勤でお得サービス」は話題だが…

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パスモ協議会や各バス事業者などは、相次ぐバス特の終了について「各社の独自判断」であると口をそろえる。

バスの車体側面に張られた「バス特」のステッカー(記者撮影)

実際、終了の日程は会社によってばらばらで、現状維持の方針を示す事業者もある。3月中旬の時点で終了を発表していない主な事業者に聞くと、東京都交通局は都営バス・都電ともに「現時点では変更(終了)の予定はない」、京成バスも「現段階では話は出ていない」。関東鉄道バスもグループ各社を含め、「いずれは変える可能性もあるが、現時点では続ける予定」という。ただ、各社局とも「現時点では」としており、今後については不明だ。

一方、横浜市交通局は、バス特の終了に必要な条例改正案が3月23日に横浜市会で可決。今後は終了に向けた手続きを進めていくといい、「4月上旬から周知を図っていきたい」という。

「割引として評価されづらい」

バス特終了の先陣を切ったのは、都内北部や埼玉県内に路線バス網を展開する国際興業。2月7日に発表し、同月末でサービスを終えた。

同社はバス特の終了について、「以前より検討しており、コロナ禍による利用者減少を受けて終了したものではございません」と説明。「ただし、時期的にコロナ禍を迎えたタイミングで検討が本格化したのは否定できません」とコメントする。

終了を検討するようになった背景には、近年のバス事業を取り巻く環境の厳しさがあるようだ。同社は「安全・環境投資や燃料費の高騰、運転士不足などに伴う全体的なコストアップの環境下、消費税率改定に伴うものを除き23年間バス運賃の値上げをせずにきた」といい、高齢者・学生向け定期券の発売や深夜バス拡充など「サービス改善、収入の確保に努めてきたものの、これ以上の経営努力が難しい状況」であると説明する。

そのうえで「(バス特は)お客様からの申し込みを必要としないため、実感なく運賃の割引を行っているきらいがありました。そのため、割引としての評価をされづらく、これ以上のICカードの普及促進効果も見込めないことから、終了することを経営判断した次第です」と、終了の決断に至った経緯を明かす。

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