電車・バス「ポイント制度」やめる各社の懐事情 JR東の「時差通勤でお得サービス」は話題だが…

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乗車ポイント終了の理由は、コロナ禍で利用者が大幅に減少しているためだ。同社は「利用者の方には負担を強いることになるが、厳しい状況にある中で運輸事業を今後も持続的に提供していくための苦渋の選択」と説明する。

西日本鉄道の電車。同社の鉄道・バスは交通系ICカード「ニモカ」の乗車ポイントサービスを3月末で終了する(記者撮影)

西鉄の月次営業概況によると、2020年度第3四半期累計(4月~12月)の鉄道輸送人員は前年同期比27.2%減の約5959万人で、厳しい状況が続く。同社によると、乗車ポイント終了による収支改善効果は年間6億5000万円。3月に一部区間で実施した電車の運賃値上げとダイヤ改正では約2億円、バスの運行見直しを含むダイヤ改正では約4億円の収支改善を見込んでいるといい、乗車ポイント終了による効果はこれらよりも大きいことになる。

「バス特」の終了相次ぐ

交通機関の乗車ポイントサービス終了は首都圏にも広がっている。今年2月以降、交通系ICカードのPASMO(パスモ)やスイカを利用してバスに乗車した際にポイントが付く「バス利用特典サービス」(バス特)について、「ICカード乗車券の普及という目的を達成した」などとして終了を発表する事業者が続出。すでに終了した会社もあり、今後も4月上旬にかけて多くの会社がサービスを終える予定だ。

バス特は、パスモやスイカを利用してバスに乗車した際の利用額に応じてポイントが貯まり、一定数に達すると運賃支払いに使える「特典バスチケット」が付与されるサービスで、2007年のパスモ導入時にスタート。首都圏のバス利用者なら、乗車時に「チケットがつきました」「チケットを使いました」といった音声案内を聞いたことがあるだろう。登録や申し込みは不要で、貯まったバスチケットは自動的に運賃の支払いに充てられる。

例えば都営バスの場合だと運賃1円につき1ポイントがつき、都区内の均一運賃区間なら1回の乗車で210ポイントが貯まる。ポイント数が1000を超えると、数に応じて100~330円の「特典バスチケット」が付与される仕組みだ。ポイントは毎月1日から月末まで累積するため、利用回数が多ければチケットは何回も付与される。都営バスの210円区間の場合、月の利用回数が52回以下なら通勤定期券1カ月(9450円)よりもお得になる。

各社が終了するのはポイントと特典バスチケットの付与。すでに貯まったバスチケットは今後も有効期限(10年)の間利用できる。

次ページ終了の判断は「各社独自で」
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