一方、ROEが低下しているにもかかわらず、時価総額が増えている会社もある。15位の弁護士ドットコムは、弁護士向け営業支援のWebサービスや一般会員向けの法律・税務相談サイトの運営会社。在宅勤務の増加や脱ハンコの法整備の進展などによりクラウド型の電子契約サービス「クラウドサイン」への注目が高まっており、同サービスの売上が急拡大。
同社の利益水準はクラウドサインの成長加速に向けた先行投資により停滞しているものの、時価総額は12倍と5年前から「テンバガー(株価が10倍になった会社を指す投資用語)」を達成している。
LINE傘下で出前仲介サイトを運営する出前館は、時価総額が11倍で19位に入った。2021年8月期に前期比で売上が大きく増えるものの、システム増強や広告宣伝費といった積極的な投資の費用負担が重いため、大幅な最終赤字となる見通し。
5年前と比べてROEは大幅に悪化するが、時価総額は大きく上昇。コロナを機に巣ごもりによる宅配への需要が高まっていることを背景に、足元では費用先行となっているものの、将来的な収益向上への期待が時価総額上昇につながっている。
ROE改善度も検証!
5年前の決算期の実績と比較したROE改善度で首位となったのは、時価総額増加倍率でも登場したアイ・アールジャパンHD。
2位のバリューコマースは、成果報酬型広告のプラットフォームサービスのほか、ヤフーショッピングの出店者向けにCRMサービスなどを展開。コロナ影響を受けた成果報酬型広告は回復途上にあるものの、巣ごもりによるECの需要増を追い風にヤフーショッピングの出店者向けサービスが拡大する見通しだ。
4位の任天堂も、在宅で過ごす余暇時間が増えたことを契機に、ゲーム機「Nintendo Switch」や、累計販売本数3000万本以上となっている「あつまれ どうぶつの森」などソフト販売が絶好調。2021年3月期の業績は期初の計画から2回上方修正されるほどの勢いとなっている。
なお、3月決算の会社は2020年4月~2021年3月、12月決算の場合は2021年1月~2012月が今期となる。決算期によって、コロナ影響の大きい期間が含まれるかどうかなど、違いがあることには注意が必要だ。
5年前と直近で各企業の稼ぐ力と企業価値はそれぞれどう変化しているのか。コロナ後の新常態で飛躍する企業を探す1つの手がかりとして役立てていただきたい。
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