借金まみれ芸人に学ぶ「すぐ使える人たらし術」 華丸大吉やカンニング竹山を喜ばせた言動とは

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逆に天野さんの場合。天野さんには、かわいがっている後輩がいる。みなさん、絶対に知らないと思うが「カピパラ」という芸人だ。

元ボクサーで整体師の資格も持っている。芸人より整体のほうがほぼ本業になっているが、天野さんはこのカピパラをしごくかわいがっている。

だからぼくはカピパラを飲みに誘う。別にそこで天野さんの話をするわけではない。ただ飲みに行くだけ。

でも結局、カピパラは天野さんに「大和さんにお酒ごちそうになりました」と報告する。

自分がかわいがっている後輩からの楽しげな報告。それは同時に天野さんをも喜ばすことになるのだ。

結果、ぼくの株が上がる。

先輩芸人「博多華丸・大吉」さんの場合

他事務所の先輩芸人、博多華丸・大吉さんの場合。

このコンビは「芸人」であるということを大事にしている。

2011年3月の東日本大震災。あの当時、お笑い番組は放送を自粛していた。

その後、復興が進み、世間の「そろそろお笑い番組を見たい」という空気を察したテレビ局が2つの番組を放送した。

その1つが「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「細かすぎて伝わらないものまね総集編」。ランキング形式でベスト30を発表していくのだが、そのうち3つが華丸さんのネタだった。しかも、番組内での1位も華丸さん。

そしてもう1つ放送されたのが「アメトーーク」。番組は総集編だったが、今度は華丸さんの相方の大吉さんが大活躍していた。

2つの番組には、「これからもわれわれはバラエティをやっていきます」という強い意志が込められていた。その番組の中で、博多華丸・大吉が大活躍していたのだ。

ぼくは酒を飲みながら大吉さんにこの話をした。

「ほんと芸人として、カッコよかったです」「いやいや、たまたまよ」

大吉さんは謙遜した。それでもぼくは続けた。

「震災後に、最初に日本中に笑いを届けた芸人は、華丸・大吉です!!」

「だけん、たまたまて」

さらに謙遜する大吉さん。ぼくは「芸人としてかっこいいです」と大吉さんが大事にする「芸人」というキーワードをふんだんに取り入れながらほめ続けた。

すると謙遜を続けていた大吉さんも、お酒が進み、どんどん上機嫌になっていった。

つまみの「ほめ言葉」が効いているからだ。それで飲み会の最後にはベロベロになり、「どんな芸人でも、かかってこんかい」とほえていた。

そんな大吉さんの相方・華丸さんが好きなものは「酒」だ。そして、その酒のおともの「つまみ」。

華丸さんは「シブいつまみ」を頼むとよろこぶ。たったそれだけのことなのだが、たとえば「軽くあぶった油揚げ」をつまみに頼んだら「大和! シブかね~~」と喜んでくれる。

そうして手の甲に塩をのせ、それをなめながら酒を飲むと、うれションしそうなテンションで喜ぶのだ。

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