「無駄」や「非効率」がビジネスに不可欠な訳

伝説の広告人が明かす「不合理」な問題解決策

しかし、休暇を増やしても、誰もが少しも損をしないとしたらどうだろう? 余暇の時間が増えることにより、レジャー用品に使われる金の点でも、生産性が向上する点でも、アメリカ経済に効果があるとしたら? 前よりも休暇が増えた人々は可能になったとたんに引退してフロリダのゴルフコースへ行くよりも、現役で働く期間をもっと延ばそうとするのではないか?

あるいは、まずまず満足できるほど休みが取れて、旅やレジャーで刺激を受けられれば、それまで以上の仕事をするのでは? さらに最近のテクノロジーの進歩により、多くの職種において、職場への貢献度は働き手がどこにいてもあまり変わらなくなってきただろう。アイダホ州のボイシにある狭いオフィスにいようと、カリブ海のバルバドス島のビーチにいようと、違いはそれほどないのだ。

こういった魔法のような結果を裏づける証拠はふんだんにある。フランス人はまれに休暇中でない場合、驚くほど生産性が高い。毎年6週間の休暇が当たり前なのにもかかわらず、ドイツの経済は成功している。

とにかく、試すどころか、この魔法の解決策かもしれない方法をアメリカ人に考えさせるモデルすらまったく存在しない。世界をロジカルなモデルで考える左脳で思考しているから、生産性は労働時間に比例するものだし、休暇を2倍にするなら給与を4%減らすべきだとされているのだ。

複雑なシステムの経済は機械ではない

技術官僚(テクノクラート)的な考えによれば、経済は機械と同じように形作られる。作動させない時間が多くなると、機械の価値は落ちるに違いないと。だが、経済は機械ではない――はるかに複雑なシステムなのである。機械は魔法を考慮しないが、複雑なシステムでは魔法を考えてみる余地があるのだ。

エンジニアリングは魔法を考慮しないが、心理学は魔法を考慮する。

人は無邪気なロジックにしがみついたまま、整然とした経済モデルやビジネス事例、狭義の技術的なアイデアといった、魔法と無縁の世界を作り上げてきた。そして複雑な世界をコントロールしているというすばらしい安心感を与えられている。

このようなモデルが有益な場合は多いが、時には不正確だったり誤解を招く恐れがあったりする。ひどく危険なことになる場合もある。

ロジックや確実性を求めれば、プラス面と同時にマイナス面もあることを忘れてはならない。科学的に見える方法を優先するあまり、もっと非合理的でもっと魔法的な解決策が考慮されていないかもしれないのだ。そういった解決策は安上がりで即効性があり、効果的かもしれないのに。

神話めいた「バタフライ効果」〔訳注:非常に小さなことがさまざまな要因を引き起こして、次第に大きな現象へ変化すること〕は実際に起こりうるのに、われわれは蝶(バタフライ)を捕まえるために十分な時間を費やしていない。そこで私の経験から、最近のバタフライ効果の発見をいくつかあげておこう。

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