プロ野球「全く儲けない異常体質」が許された訳 「ジャイアンツ頼み」のビジネスモデルは限界だ
プロ野球ビジネスにおける、球団の収入を構成する主要な「4本柱」がある。
・放映権料
・グッズ販売
・広告などのスポンサー収入
そして、これらの各項目における売上の増減を左右するのが「観客動員数」だ。お客さんが、入場券を購入して球場へ来る。人気のあるチームだからこそ、試合をテレビ中継すれば視聴率も上がる。
来場したお客さんが、応援グッズを購入して盛り上がる。その活気あるスタジアムに広告を出せば、多くの人の目に留まる。集客を核としたビジネスモデルゆえに、その「観客動員数」がKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)となる。
球団が恐れる「最悪シナリオ」
しかし、2020年(令和2年)のプロ野球界では、その前提が大きく揺らぐ事態に陥った。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で、肝心の「集客」が激減したのだ。
開幕は3カ月遅れの6月19日にずれ込み、当初は無観客試合。上限5000人での観客受け入れは、開幕から3週間後の7月10日から。収容人員の50%まで引き上げられたのは、開幕から3カ月後の9月19日だった。
シーズン143試合を120試合に短縮したおよそ5カ月間のシーズンは、何とか“完走”することはできた。しかし、その代償は、むしろこれから出てくるのだろう。
「入場料収入」は、球団の売上全体でも、30%から50%を占めると見られている。それだけに、2020年のコロナ禍による観客動員の大幅な落ち込みは、球団の台所事情を直撃する大問題でもあったのだ。
大半の球団は、これまでの内部留保などで2020年のマイナス分は何とか補えるのだという。ただ、同じような状況が2021年(令和3年)も続いた場合には、深刻な経営難に陥る球団が出てくるともいわれている。
まずは球団ビジネスの『これまで』を、駆け足でたどってみたい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら