今日もわが子が「思い通りに動かない」理由3つ 「観察」を超えて「監視」することの悪影響

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「子どもを『監視』するのではなく、『観察』してみてください。監視すると余計な感情が出て、子どもの欠点ばかりが見えて、それを是正しようとします。その結果、指示や命令するようになります。しかし、観察すると冷静になることができます。冷静になれば子どものささいな成長や変化を感じることができます」

現在、井上さんは、お子さんを「監視」しているのか、それとも「観察」しているのか振り返ってみるといいでしょう。

子どもを下の立場に見ている

最後に、重要な点についてお伝えします。親は子どもをどのように見ているかという視点についてです。

一般的に親は子どもを下の立場の者と見ているのではないでしょうか。まだまだ子どもであると。そのため、親は子どもに指示、命令用語を頻繁に使います。しかし、子どもは親のことを上の立場の人と思っていない可能性があるのです。ですから、“タメ口”を聞いてきますし、反発もします。さらにスマホを持てないことで「なぜ自分だけ不公平なのか!」と言ってきたりします。下の立場という認識があれば、このようなことは起こらないことでしょう。

実は、ここに大きな問題の本質が隠されています。親が子どもを下に見る一方で、子どもは親を同等の立場と見るとしたら、明らかなギャップが生じ、お互いにこのことを認識しなければ、永続的にトラブルが続くということです。

「子どもに足りないのは『経験』と『ボキャブラリー』の2つ」というお話をよくします。つまり、大人が思っている以上に子どもは感性が優れており、さまざまなことを感じ、認識することができるということです。ただ、それを表現するボキャブラリーが不足しているだけなのです。ですから、「ふてくされる」「悪態をつく」「暴言を吐く」「イライラする」「モノに当たる」という現象は、自分の気持ちを適切に表現する言葉が出ないことによって起こる“メッセージ”であると筆者は考えています。

このような背景があることを知り、お子さんを1人の人間として話を聞き、受け止め、尊重してあげるとよいでしょう。すると承認欲求が満たされた子どもに行動変容が起こります。

以上のように、3つの理由を知ることで、これまでの子どもへの対応が違っていたことがわかることでしょう。親が子どもを自分の思いどおりにするのではなく、まずは子どもの状態を観察し、子どもの視点から対応することが大切であるということがおわかりいただけると思います。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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