行司が明かす、知られざる「相撲列車」の舞台裏

体が大きくても、大移動のときは1人1席が原則

国技館の最寄り駅の両国駅(写真:けんさん/PIXTA)
相撲列車はいつ走るのか。車内はどのようになっているのか。誰がグリーン車を利用できるのか――。現役行司の書き下ろしによる、大相撲と鉄道の関係を掘り下げた一冊が『大相撲と鉄道』(交通新聞社新書)です。その一部を抜粋して紹介します。

1両に最大100人が乗車

大移動の貸し切られた車内は、1両に最大100名の力士が乗車しています。大きなスーツケースや土産物などで座席上の荷物棚はパンパンです。

棚に収まらない荷物をデッキに置く力士も見かけますが、デッキに置いてしまうと、通行の妨げになります。ホーム方向の扉の前に置いてしまうと、扉が開いたときにホームへと傾くこともなくはないでしょう。1両まるまる貸切とはいえ、大変危険ですし、遅延を招く可能性にもつながります。

これを防ぐために、事前の本場所中には、仕度部屋や各部屋に、移動の相撲列車運行などを知らせる貼り紙を掲示します。そのときに最小限の荷物で乗車するようにと注意喚起しています。

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車内には鬢付油の匂いが充満しています。夏場はもちろんですが、暖房が利いている冬場にも、暑がりの力士たちの額には、汗が滲んでいます。そんななかで食事をしたり、スマートフォンやタブレットでオンラインゲームや映画鑑賞をしたりと、思い思いに過ごす力士の姿があります。

とはいえ、大半の力士は寝ています。

大きなイビキが聞こえてくることもあります。

タブレットに映画が映し出されたまま、寝落ちしている力士もいます。

力士たちは乗車前の午前中に、部屋や地方場所の宿舎の掃除や後片付けの仕事を終えてきています。無理もありません。さらに、この時間帯は、通常ならば稽古後の昼寝の時間帯でもありますので、睡魔に襲われるのでしょう。

どんなに身体が大きくても、大移動時に与えられる座席は、1人1席です。肘掛けを上げても肩と肩がぶつかり合い、窮屈な空間です。

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